創聖アクエリオン
□父親2
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「アーマタ!」
「ゼシカ!」
「おい、こら…」
ご立腹なドナールの前に現れたのはアマタの腕に抱きつくゼシカ。その様子を見て、直ぐ様ドナールは二人を離す。
「え?ドナール教官…?」
「ベルリンの壁がなくなろうと恋愛は禁止。いつ何がきっかけで危険が来るかわからない。その誘惑する行動は控えろ、ゼシカ。」
「本当にお父さんなんだね〜。そんなにアマタが心配?」
「そうではなく恋愛はな…」
「あれだね。私の娘はやらん!みたいな」
「俺、男なんだけど…」
「わかってるって!でも、ドナール教官があまりに必死なもんだからさ…。アマタも大変だね!それじゃっ」
「あ、おい…!話はまだ終わって…」
「……誤解されたままなのかな」
「よぉ!兄弟!」
「次はアンディか…」
「なんだ、なんだ?やっぱり何人かに声を掛けられたか?」
「…まぁね」
「アンディ…!誤解を解かねぇと…」
「誤解?よくわからないですけど、二人のこと学園スクープ新聞になってますよ」
「え?」
「何っ!?」
「「学園スクープ新聞!?」」
「さすが親子!ハモリがいいな!これだ!」
アンディが出した新聞記事に書かれていた内容は…
『ドナール教官に息子!?
つい先日ドナール教官に息子がいたことが発覚した!なんとその息子とは、禁じられた男女機合体アクエリオンの封印を解いたアマタ・ソラ!名前が違うことには何かしら事情がありそうだ…。ドナール教官とアマタ・ソラが抱き合う写真は感動の再開を果たした時のものだ!みんな祝福してあげよう!また情報が入ればお伝えする!情報をくれた人にはそれに見合った情報料を差し上げよう!』
「もしかしてこの新聞でみんなが…?」
「ち…っそういうことだったのか…」
「でさ、でさ、なんか情報くれよ!母親とかさ!ドナール教官の妻とか気になるじゃん!親友だろ?アマタ!」
「……ドナール教官は関係ない。母さんも父さんも俺にはいない!その情報でいいなら持っていけばいいだろ!」
「お、おい…アマタ?」
「アンディ…、本当に誤解なんだよ。俺はただドナール教官を父さんに例えたかっただけ」
「アマタ・ソラ…。」
「ドナール教官…世話をかかせてすみません…。アンディ…、親友って言うなら誤解解いてきてくれないかな?」
「ま、まかせとけ!悪かったな!アマタ!」
暗い表情のアマタを気にしながら走り去るアンディ。アマタはどことなく疲れ切った表情で歩き始める。
アマタの母…、アリシア…。小さい頃にアマタを残し、どこかへ飛び立った。その真実を知る者は少ない。
アマタの小さい子供時代、足に羽根があることで気味悪がられて来たアマタにとって、母親であったアリシアがいなくなるのは見捨てられたのと同じ。
それを忘れられずに一人の力で生きてきたアマタは羽根がなければと思いながら成長した。けれど、アクエリオンに乗ってからは一般人とは違う能力を持つことが悪くないのだと自信を持つことができたアマタ。
しかし、結局は親がいないことで面白がられておしまいなのだ。能力だけの問題ではない。
アマタは母親がいなくなった時のことを頭の中で何度も思い返した。