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□師匠は過保護
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ピッコロはわかっていて、チチにはわからなかった。
それだけなのだ。
「お母さん、泣かないで…」
「すまねぇだ…っ悟飯ちゃん…っ」
なんていい子に育ってくれたのだろうとチチは思う。焦るあまりに悟飯の成長に気付けなかった。
悟飯を大切に思うピッコロに敵対心を持ち、悟空の知り合いたちでさえ悟飯の影響に悪いんだと決め付けて……
過保護すぎるあまりにチチは悟飯を苦しめてしまったんだと謝罪をしながら息子を抱き締める。
「お母さん…」
「…悟飯から離れろ。親が子に甘えては、悟飯が大人に成り切ろうとして成長のさまたげになるだろう。セルゲームが終わり次第、悟飯は子供だ。子供の時期は子供らしくするのが一番らしい…、あまり悟飯に負担をかけるな」
「ぴ、ピッコロ…少しは空気読めよ」
「ぐず…っいいだよ、クリリン」
「悟飯のためにやったことだ。空気など読めるか…、時間はくれてやっただろう」
最終的に悟飯への過保護が発動してしまい、ピッコロが割り込んでしまったが、チチなりにピッコロが気を遣ってくれたことがわかる。
何故なら、自分が泣き出した頃からピッコロがそわそわと、自分と悟飯を見ながら、眉間に皺を寄せて我慢していたのをチチは見ていたからだ。
だから怒る気など起こらなかった。確かに悟飯は大人と変わらない生き方をしてきたのだから…
チチはセルゲームが終わり次第、悟飯がまた子供に戻れるよう母親としてけじめをつける。
それが、悟飯の幸せに近づくと感じたのだ。子供なのに大人と一緒になって闘い、最終的には大人と同じ扱い。
悟飯は四歳からもう子供として扱われていない。大人と一緒に地球を守る戦士の一員であるからだ。
その原因を作ったピッコロはそのことを悔やんでいるのだろうとチチは感じた。
けじめは悟飯のためだけでなく、ピッコロのためでもある。
それが悟飯を守ってきてくれたチチなりの恩返しだとチチは思ったのだ。
「悟飯ちゃん、絶対帰ってくるだよ?闘いが終われば、お前はただの子供…いっぱい甘えればええだ」
「はい…。お母さん」
「ピッコロさも悟飯ちゃんをよろしく頼むだよ」
「言われなくても最初からそのつもりだ」
「それだけじゃないだ。ピッコロさも無事帰ってくるだよ。悟飯ちゃんを悲しませたら許さないべ…!その代わりに生きて還ってくれば、悟飯ちゃんを子供に戻すと約束するだよ」
「…!」
「悔やんでるなら簡単に死ぬんじゃねぇぞ」
「………悟飯、次に会うのはセルゲームだ。」
「帰っちゃうんですか?」
「せねばならないことを見つけた」
「?」
「死ぬなよ、悟飯…。まぁ、俺が死なせはせんがな…」
「あ…ピッコロさん!」
「約束だぞ、ピッコロさ」
「………」
約束が破られることはないだろう。そう考えながらチチはカプセルコーポレーションを去るピッコロの後ろ姿を見て思った。
ピッコロが去った後は残りのメンバーでわいわいと騒ぎ、時間になればそれぞれの家へと帰るのだった。
こうして悟飯の誕生日会は幕を閉める。
ピッコロからもらったオルゴールはセルゲーム後、悟空がいなくなった寂しさを埋めるのにとても役立ったとか……
END
あとがき
もう誤字とかありそうで怖い…。学校行く前と帰った後の時間で書き切ろうなんて難しかった。
誤字あれば掲示板にてお願いします。読んでくれた方ありがとうございました!