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□師匠は過保護
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「ごめんなさいね、チチさん。いきなり悟飯くんの誕生日会やりたいだなんて言って」
「いいだよ。たまには二回誕生日があってもいいと思うだ」
「まだあんなに小さいのにセルと闘うなんて悟飯くんは凄い子よ。一番恐い思いをするのはきっと悟飯くん…なら、今はうんと平和を満喫してもらわないとね」
「なぁに、セルくれぇ悟空さがやっつけてくれるだよ。悟飯は見るだけで終わりに決まってるじゃねぇか」
「チチさん…」
最初こそ気にしてない素振りだったが、やはりセルの闘いに近づくに連れて、息子が心配で仕方ないのだろう。
悟空が倒してくれると信じながらも、不安は消えず、チチが無理に笑っているのがわかるブルマ。
セルの闘いにはブルマの息子である未来のトランクスも出るのだ。ブルマにだってチチと同じような気持ちは持っている。
だんだんと沈むような空気になっていき、どうすればいいものかと思っていればタイミングよく現れた二人がいた。
「ブルマさん、チチさん、遅れてすみません。あれ?どうかしたんですか?」
「う、ううん。何もないのよ?よく来てくれたわね」
「ウーロンたちはもう地球は終わりだーっなんて言って、したいことしに出掛けてるから多分来ないと思うぜ?天津飯と餃子は遠慮するってさ」
「縁起の悪い人たちね。セルを理由にしたいことするなんてばっかじゃないの?あいつらがしたいことなんてろくなことないじゃない!天津飯たちも悟飯くんの祝い事くらい来なさいよ!」
「やっぱ緊張してるんじゃないかな?緊張してないのは悟空くらいだよ」
「それにしても悟空さと悟飯ちゃんは遅いだな」
「そうねぇ。チチさん一人で来たんでしょ?伝えてはあるのよね?」
「んだ。少し遅れてくとは悟空さから聞いたべ。だども、悟飯はすぐ後から行くって言ってただが…」
「どうしたのかしら…」
みんなで主役の悟飯と、その父である悟空の話をしていれば、一人、カプセルコーポレーションの中に入って来た。
「わりぃわりぃ、遅れちまっただぁ。ん?まだ悟飯の奴来てねぇんか」
「孫くん…一緒じゃなかったの?」
「ん?オラはトトたちの様子見に行っただけだぞ?前にトトたちを狙う奴らがいたかんな」
「悟空さは相変わらずだべ…」
「悟空と悟飯が一緒じゃないなら、悟飯は一体どこへ行ったんだよ?」
「主役がいないんじゃ、パーティーにもならないだろ」
「すみません!遅れました…っ」
「やぁっと来たべ…ななななっ!ご、悟飯ちゃん…?」
「どうかしましたか?」
「どうかしたも何も…ねぇ」
「なんだ。お前も来たんかぁ、ピッコロ」
「ふん…悟飯がどうしてもと言うんでな」
悟飯と共にカプセルコーポレーションに入って来たのは悟飯の師であるピッコロ。
なんといっても一番驚いたのは、お互いお揃いの道着を身につけながらさぞ当たり前のように姿を現したこと。
悟空、悟飯、ピッコロ以外は戸惑いを隠せず、一同苦笑いするしかなかった。
「悟飯ちゃん…家に出る時は普通の服だったべ…。何さあってピッコロなんかの道着に変わってるだ…」
「まさか誕生日会までお揃いの道着で来るなんてな…」
「今からでも闘いが始まる気がしませんか?ヤムチャさん」
「はは…っ勘弁してくれよ。俺がピッコロと今の悟飯にかなうわけないだろ?」
「それを言うなら俺だって…」
「あ…っいけない!ほらほら、主役が来たんだから誕生日会を始めましょ!」
呆然としていたブルマだが、すぐ立ち直り元々の目的を忘れまいと誕生日会を始める合図をした。
ブルマが近くの扉を開けばそこは料理の山で一気に雰囲気が変わる。
「すごいだな、全部ブルマさんが作っただか?」
「シェフに頼んだのよ。さすがに孫くんのことやみんなのことを考えると、私だけでは無理だったもの。さぁ、みんな食べていいわよ!」
自慢気に話ながらも、ブルマの二度目の合図にみんながたくさんの料理の中へ散らばった。
こうして悟飯の誕生日会が幕を開ける。