短編
□ありがとう
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ありがとう。本当に。
何度も何度も君に礼を言う。
けれど君は返事をしない。
当然だ。君は僕の前、どころじゃない。
この世から消えてしまった。
僕の前にあるのは君の名が彫られた石。
僕の不注意が原因の事故。
君だけの死というあまりにも非道過ぎる結果から呆気なく経ってしまった2年と63日。
ずっと、卑屈になることなく
生を諦めたりしなかったのは君のおかげなんだ。
君と一緒に生きたあの数ヶ月。
こんなにも勇気をくれる幸せだった日々を与えてくれて、
「ありがとう。」