夢魔の子と正義
□prologue
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「ありがとう ベイル 大好きよ」――
眼を閉じる前に見えたベイルは、お姉ちゃんを見据えていた。
私は、多分これが最後だと思いながら、忘れないようにベイルの腕に強く抱きついた。
だんだんと薄れてゆく意識の中で見えたのは、ソドモさんやベイル、みんなで笑っている光景だった………
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カチッ カチッ カチッ
薄暗い空間に静かにそびえ立つ時計。
それは規則的にその時を刻んでいた。
カチッ カチッ カチッ
その時、確かに時は微かにズレをきたした。
そのズレは、一粒の光となって無数にある世界の一つへと入っていった。
ズレは人の形となり、その世界に降り立った。
正義の者と夢魔の子の会合はあとわずか………。
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