G00・SS

□無自覚なまま(ティエアレ)
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ティエリアがアレルヤの独房を訪ねたのは、ほんの偶然だった。


アレルヤが起こした行動のせいで作戦を練り直さなければならず、俄かに忙しくなっていた。
ティエリアにはアレルヤの行動は理解できなかったし、許せるものでもなかった。
プランは大幅な変更を余儀なくされ、狂った計画は後々にどれだけ影響を及ぼすか分からない。
イラつきながら歩いていたら、いつの間にかこの独房の前に来ていたのだ。


アレルヤが独房に入って明日で1週間になる。


(少しは反省しているか?)


ふと気になり、ティエリアは扉に手をかけた。
シュンと軽い音を立てて開いた扉から覗いた部屋の片隅に、件の人物は横になっていた。
具合でも悪いのかと室内に入ったティエリアは、腕を組んで思わずため息をついた。


「眠っているだけか」


部屋の真ん中で眠れとは言わないが、なぜそんな壁ぎりぎりの角のところに寄って眠っているのか。
しかも膝を抱えるように小さく丸くなって。


(寒いはずはないのだが…)


空調は効いている。室温は快適に過ごせるように保たれているはずだ。(独房としてそれもどうかと思うが)
寒いわけでもないのに何故?とティエリアは首をかしげる。


普段自分よりも大きな鍛え上げられた身体が小さく丸まっている姿は、ティエリアに妙な気持ちに抱かせた。
そうして眠っている姿はあどけなく…まるで頼りない幼い子供みたいだ。
その無防備さはティエリアを何故だか苛立たせた。


「ン…ッ」


不意にアレルヤが身じろいだ。が、起きる気配はない。
時折、整った眉が苦しそうに寄せられる。乱れる息。何か嫌な夢でも見ているのだろうか。空調以外の音のない部屋で、それはやけに大きく聞こえた。
ティエリアは吸い寄せられるようにアレルヤの傍らに跪き、汗で額に張り付いた前髪を払うと、そのまま何とはなしに指先を髪に滑らせた。
何度か撫ぜるようにそれを繰り返すとアレルヤは少しだけ穏やかな表情を浮かべた。
普段起きている時に受ける鋭い印象とは程遠い、あどけない寝顔。とりあえずは大丈夫だろう。
ティエリアは安堵の吐息をつき…そしてはっとした。


「何でほっとしているんだ」


そもそも反省をしているか様子を見に来ただけだったはずだ。
アレルヤが悪夢にうなされようが、自分には関係ないはずだ。
なのに…


「こんなところで何をしているんだ、俺は」


呟いて我にかえった。独り言。いつの間にか彼の癖がうつってる。そんなにずっと近くにいたつもりはないのに……。
軽く舌を打つとティエリアはそっと彼の傍を離れた。


戸口に手をかけ肩越しに振り返ってみたアレルヤの寝顔は、すっかり穏やかなものになっていた。それを見て、やはり少しだけほっとする。
ティエリアは自分の指先を見つめた後、それをきつく握り込み、部屋を後にした。


音のない廊下で、自分の鼓動だけがやけに大きくティエリアの耳に届いた。



***
仕草お題「腕を組む」
#06捏造というか。。。ティエリアの性格も口調もまだ全然掴めてません。だらだら長くなっただけかも;;(イタ)
ティエリアが別人でスミマセン;

そして独房にベッドが見当たらなかったんで↑みたいなの書いちゃいましたが…見落としてたらごめんなさい;つか、普通はないか。

ところで独り言ってうつるんですよねー。以前隣の席だった人がずっと独り言言ってるような人だったんですが、気が付いたら自分も言うようになったという…;



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