夢を乗せた船旅

□第二章
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ルフィ達の乗る小船が海を漂い辿り着いた先はゾロが捕まっているという海軍基地。



「ついた!!海軍基地の町っ!!」

「はい!!ついに!!」

「お前すごいなコビー」

「え?」



小船から降りたルフィは拳を突き上げ久方振りの陸地に感動し、小船が波に流されないよう紐で固定しているコビーに関心したとばかりに告げた。



「ちゃんと目的地に着いたよ!」

「当り前ですよ!海に出る者の最低限の能力です!ルフィさんと…サトシさん…だって毎度漂流してちゃ海賊になんてなれませんよ。せめて航海士を仲間にするとか」

「ああそうする!!」

「…オレは海賊になるつもりなんてこれっぽっちもない!!」

「ああ、すみません!」

「そんなことよりメシ食おう」



ルフィの海賊として生きる術である海の知識と覚悟があるのかないのか分からない言葉にコビーは呆れつつ注意をするとルフィはマイペースに頷き、サトシは不機嫌そうな声音で幾度となく言い続けている言葉を言うとコビーは反射的に謝る。そんな中、ルフィは二人の様子など気にした風もなくお腹を押さえご飯にしようと満面の笑みを浮かべて言った。

ルフィのお腹が空いた発言の後、サトシとコビーは顔を見合わせ溜め息を吐いた時サトシのお腹からグゥと空腹を知らせる腹の虫が鳴り恥ずかしさに顔を真っ赤にさせる。



「……」

「……」

「えっと、サトシさんもお腹空きましたよね?ルフィさんもああ言ってますし何か食べにいきましょう」



顔を真っ赤にさせたまま俯くサトシにコビーは苦笑を浮かべ、瞳をキラキラとさせ食事が出来る場所を探しているルフィを指差しながら言うとサトシは小さく頷いた。

それからそう時間が経たないうちにルフィは食事が出来るレストランを見つけサトシ達に声をかける。



「サトシー、コビー!ここにしよう!!」



笑みを浮かべて言うルフィはサトシ達が頷く前に店に入っていく。その後を追うようにサトシ達も店に入る。

店内に入るとそこには沢山の客がテーブルに座り料理を食べており、ルフィは何処か空席がないか探し一つだけ見つけると嬉しそうにテーブルに近付いて行く。三人が席に着くと店員が水の入ったコップを持ってきた。



「お冷やになります。…ご注文どうなさいますか?」

「おれ、ステーキセット!」

「じゃあオレはハンバーグ」

「僕も彼と同じハンバーグで」



店員の問いかけに元気良く答えたルフィとメニューを見ながらじゃあと言ってサトシが答え、コビーはサトシと同じものをお願いしますと答える。三人の注文に店員は笑みを浮かべ厨房へ向かう。

ルフィ達がメニューを注文してから三十分程経った頃、綺麗に料理が盛られた器を持ってきた店員が笑顔を浮かべご注文の品物になりますと言いテーブルの上に並べていく。
食欲を掻き立てるような香ばしい香りにルフィとサトシは瞳を輝かせて、両手を合わせ頂きます!と言ったのと同時に料理を口に放り込む。



「……意外だな。サトシさんって少食なのかと思ってました」

「ぼべなごど……ゴクンッ。そんな事ないぜ?」

「ピィカピィカ(そうだね。基本大食いだよねサトシは)」

「なんか言ったかピカチュウ」



料理を口の中へ詰め込むサトシを見て関心し告げた内容にサトシは首を傾げると傍らにいたピカチュウはうんうんと頷いている。
サトシとコビー、ピカチュウがお喋りをしている間にルフィは料理を食べ終えナイフとフォークを置いた。



「ご馳走さまでしたっ」

「え?もう食べ終えたんですか!?」

「早っ」

「ピィカ」

「なんだ、コビー食べないのか?」



手を合わせたルフィにサトシ達はもう食べ終えたのかと驚いていると、ルフィは半分以上残っているハンバーグが乗ったコビーの皿を見ていらないなら食べるぞと目で訴える。
ルフィから指摘され、ゴビーは急いで己の皿にあるハンバーグを口に放り込む。

三人と一匹が料理を食べ終えた所でルフィが徐に言葉を発する。



「じゃ、この町でコビーとはお別れだな!海軍に入って立派な海兵になれよ!」

「はい…!!ありがとうございます。ルフィさんも立派な海賊になって下さい。いずれは敵同士ですけど」

「……」



海軍基地のある島までという目的でコビーと共に航海してきたルフィの切り出しにコビーは涙が溢れ腕で目元を覆う。その様子を無言で見つめるサトシ。



「そういや基地にいるのかな。あの…ゾロって奴」



思い出したようにルフィが“ゾロ”の名前を口にした途端店内は騒然となった。いや実際はルフィ達から離れ壁に身体を擦り付ける者、客同士抱き合うように身を縮こまらせる者達がビクビクとしながらルフィ達を遠巻きに見ているのだが。

店内にいた客達の様子を見たコビーはルフィとサトシに小声で話かける。



「ここではゾロの名は禁句のようですね」

「ふーん」



ルフィ達に小声で話しかけていたコビーは話題を変えるように音量を上げ普通に話しかける。



「さっき貼り紙を見たんですけど、ここの基地にはモーガン大佐という人がいて…」



ガタガタァン!!



「え!?」

「おお!!」

「!?」

「ピィカ?」



ゾロの名を出した時と同じ反応する客達にコビーは困惑し、ルフィは面白そうに、サトシはビクッと肩を跳ね上げピカチュウは首を傾げた。

そしてコビーはこれ以上店内でゾロやモーガン大佐の話題を口にするのは店の営業を妨害すると考えルフィとサトシに店を出ることを伝え代金を支払い店を出て行く。





20110710 
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