夢を乗せた船旅

□第二章
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二航海【心優しき海賊狩り】










アルビダの海賊船で雑用をしていたコビーと知り合い一悶着あった後、ルフィ達は小船を一隻貰い(奪い)現在大海原で次の目的地や勧誘したい人物の話をしている。



「あのゴムゴムの実を食べただなんて驚きました。でも…ルフィさん“ワンピース”を目指すって事は…あの“偉大なる航路”へ入るって事ですよね!!」

「ああ」

「あそこは海賊の墓場とも呼ばれる場所で…」

「うん。だから強い仲間が居るんだ。これからお前が行く海軍基地に捕まってるって奴」

「ああ…ロロノア・ゾロですか?でもルフィさん…」



言いかけてコビーはチラリと会話に加わりもせず見た事のない生き物と戯れている少年へと視線を向けた。一方コビーと会話をしていたルフィは言いかけた言葉を不自然に止めたコビーに首を傾げて問いかける。



「なんだ?」

「強い仲間が欲しいと仰いましたがルフィさんにはもういるじゃないですか」

「ん?ああ」



コビーの言葉にルフィは始め首を傾げ何を言い出すんだ?といった表情を浮かべたがすぐに意味を理解し同じ船に乗る黄色い生き物を膝に乗せ会話をしている少年に視線を移した。
黄色い生き物と会話をしていた少年はルフィの視線に気付いたのか傍らにいる生き物からルフィ達へ顔を上げ不満げな表情を浮かべ言葉を発する。



「なに?」

「ピィカ?」

「確かにサトシは強いよな!いや…違うか、このちっこい生き物が強いのか?」

「だから何の事?」

「あわわ、すみません!僕があなたの話題を出してしまったので!…あのですね。これから行く海軍基地に捕まってる人…ロロノア・ゾロっていうんですけど、その人が強いようならルフィさん…その人の事を仲間にしようって」

「それで?」

「えっと、だから僕がルフィさんに言ったんです。強い仲間ならもういるじゃないですかって」



突然ルフィに少年――サトシは自分の名前を出され何の事か分からず訝しげな眼差しを送っていると慌てた様子で謝るコビーはルフィと会話をしていた同じ内容をサトシに伝える。
伝えた瞬間サトシの表情は歪み心底嫌そうな表情を浮かべて見せた。



「オレはルフィの仲間じゃない!それになった覚えもない!!」

「え、でも」

「ははは。サトシ何言ってんだ!?俺がお前を仲間にするって言ったら仲間になるんだ!!」

「勝手に言ってるだけじゃん。なあ、ピカチュウ?」

「ピィカ」



サトシがルフィの仲間になった覚えはないと何度も言っている内にルフィはぶるぶると小刻みに震え、両の拳を振り上げ「うるせー!!」と叫ぶとこの話はもうこれで終わりだとばかりにゾロの話に戻す。



「ロロノア・ゾロだっけか?そいつがいい奴だったら仲間にしようと思う!」

「えーーっ!!またムチャな事をォーっ!!ムリですよムリムリムリ。あいつは魔獣のような奴なんですよ!?」

「そんなの分かんないじゃん」

「ムリっ!!」



軽い口調でこれから向かう事になる海軍基地に捕まっている人物を仲間にしようと心に決めるルフィに考えを改めてもらおうと必死な様子のコビーに話を逸らされ会ったこともない悪い人物を仲間に引き込もうとするルフィを呆れた表情を浮かべるサトシはコビーの言葉に首を傾げる。



「魔獣って?」

「えっと…サトシさん、でしたっけ?ロロノア・ゾロは“海賊狩りのゾロ”という異名を持つ恐ろしい奴なんです。血に飢えた野犬のように賞金首をかぎまわり海をさすらう男だと、人の姿を借りた“魔獣”だと人は言います」

「ふーん」

「へぇ」

「ピィ〜カ」

「だから仲間にしようだなんてバカな考えは捨てた方が…」

「でも別に俺は仲間にって決めた訳じゃなくて、もしいい奴だったら…」

「悪い奴だから捕まってるんですよ!!」



前半はサトシやルフィに聞かせるように説明していたが後半は恐ろしい人物を仲間に引き込もうとしているルフィに聞かせるが、笑って良い奴なら仲間にすると宣言するルフィにコビーは声を荒げながら告げた内容にサトシも呆れたように溜め息一つ零し言葉を発する。



「そのコビーの言うように捕まってるってことはそいつは悪い奴なんじゃないのか?」

「ピィカ」

「ですよね!」



サトシの言葉にこの船に僕と同じ意見の人がいてよかった!と安堵の表情を浮かべ同意を求めるコビーに悪い奴ならなと小声で呟く。





20110522
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