夢を乗せた船旅

□序章
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序章【異変の起きた日】










シンオウ地方を旅するサトシ達は最後のジムバッチをゲットするため、ナギサシティに向かっていた。



「ねえタケシ」

「なんだ?ヒカリ」

「ナギサシティまでどのくらいあるの?」



タケシと呼ばれた青年は後方を歩いていたヒカリに声をかけられ振り返ると早速質問を受け、手に持っていた地図を開き大凡(オオヨソ)の予想を口にする。



「そうだなあ……丸一日歩いて、だろうな」

「え!?そんなにあるの?」



タケシの答えを聞いた瞬間目に見える程がっかりとした表情を浮かべたヒカリは甘えるような声で提案を口にする。



「ねえ、今日はこの辺りで野宿にしない?」

「そうだ…」

「何言ってるんだよ!後一日頑張って歩こうぜ!ヒカリ」



ヒカリの提案にタケシが頷きかけた所でサトシが割って入るようにヒカリの提案を一蹴する。それに慌てたのはヒカリで―…



「私は歩き疲れたの!!一歩も歩きたくないの!!」

「おい…ヒカリ」

「サトシ…今日はここで野宿をしよう」



急に立ち止まったヒカリは癇癪を起こしたように両手をばたつかせて歩きたくないと叫ぶ。その様子にサトシは困った表情を浮かべ、タケシはサトシの肩に手を置きヒカリの提案通りに野宿することを薦める。
ヒカリだけでなくタケシにまで言われてしまえば否と唱えることもできず野宿することになった。



「そうと決まれば準備をしなくちゃな」



タケシの言葉にヒカリは頷き野宿をするためにテントを二つ用意し作っていく。一方サトシは深い溜め息を吐きピカチュウと一緒に薪を探しに行く事を伝えその場を離れる。





サトシとピカチュウはタケシ達から離れた森の中にいた。



「はあ…」

「ピィカ?」

「少しでも早くナギサシティに行きたかったな。そう思うだろ?ピカチュウ」



名残惜しそうに呟くサトシはピカチュウに同意を求めるとピカチュウは頷くがサトシと一緒にいられるならどちらでもいいといった感じだ。



「それ引き換え、ヒカリはいいよな」

「ピィカ?」

「だってさ。ヒカリはコンテストリボン5個集まってるからグランドフェスティバル出場間違いなしだし…」



はああっと森に入ってから何度目かの盛大な溜め息を零すとサトシはポケットからジムバッチを収めたケースホルダーを取り出し眺める。



「ジムバッチが8個揃ったらシンオウリーグに挑戦できる権限が与えられるんだ。そのためには必要なバッチは後1個」

「ピカ!」



バッチケースに納まったバッチを眺めたまま真剣な表情を浮かべるサトシにピカチュウも真剣な面持ちで頷いた。



「ナギサシティに着いたら、まずジム戦しなくちゃな!」

「ピッピカチュウ!」



バッチケースから視線を外しピカチュウを真っ直ぐ見つめて決意を口にすれば、ピカチュウも気合いの入った鳴き声を上げた。
ピカチュウの気合いが籠もった鳴き声を聞き、サトシは満足そうにバッチケースをポケットの中に仕舞うと薪探しを再開しようとするがそれもすぐに中断されることとなる。





 
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