鬼物語

□拾壱章:池田屋事件・後編
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〜総牙said〜


『はぁ…はぁ…』


斬り合いを始めてからどれくらい時間が経ったんだろ。

さすがにこれだけの人数にたった十数人で挑むっていうのはキツく感じる。


「うらぁぁぁっ!」


勢いよく斬っていく新八さんの腕には生々しいくらいの刀傷が出来ていたが、それでも怪我を気にしない新八さんはどんどんと敵を斬く。

しかし、嫌な感じがずっと二階からしてるのは何故だろうか。
俺の中の何かがこの池田屋に入ってから煩いくらいずっとざわついでる。
何かある、と思った俺は新八さんに声をかけた。


『新八さん、少しの間だけここの片付けお願いできますか?』
「おい、総牙。それは誰に物言ってんのかわかってんのか?」


新八さんは俺の方を見てニヤリと笑った。


『そうでしたね。それじゃ、俺は二階の方に行ってきます』


そう言うと、俺は急ぎ足で二階の方へと向かった。


「うわぁぁぁっ!」


階段を駆けていく途中、浪士が俺目掛けて斬りかかってきた。


『馬鹿だね。俺に気を取られ過ぎだよ』


ニヤリと口角をあげた俺はその場にしゃがみこみ、そして、

ザシュッ!

しゃがみこんだ俺の頭の上を何かが通り過ぎ、目の前にいた浪士の胸を刀が貫いていた。


『ナイスタイミングだよ、千晶』
「兄妹だから当たり前でしょ、総牙」


後ろを振り向けば、四国屋にいたはずの千晶が薄く笑っていた。


「二階に行くの?」
『まぁね』
「それじゃ、私は下で敵を倒してるね」
『分かった。気を付けなよ』
「総牙もね」


俺たちは軽く頷いた後、俺は上へ、千晶は下へと行った。




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