鬼物語
□捌章:新選組の秘密
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【総牙said】
顔をトマトみたいに真っ赤にしちゃった千鶴ちゃん。
独り言を聞かれたのがよっぽど恥ずかしかったんだね。
「あのさ、飯の時間なんだけど」
「藤堂さん」
廊下の曲がり角からひょっこりと顔を出しながら現れた平助。
確かに今は午後6時くらいだし、さすがにお腹空いたかも。
「俺には仕事がある。先に食べていい」
「そうだね。片時も目を離すなって土方さんの命令だからね」
あれ、総司いつから俺の後ろに居たわけ?
「さっきだよ」
『読心術か何か使ってるの?』
「あんたの口に出ていただけだ」
『え、マジ?』
そりゃ不覚だったなぁ。
次からは気を付けないと。
そんな馬鹿みたいな会話をしていれば、
「あのさ、だったらこいつもオレらと一緒に食わせればいいんじゃねえの?土方さんと山南さんは大坂に出張中なんだし」
「えっ」
平助の言葉にキョトンとする千鶴ちゃん。
まぁ、確かに俺も千鶴ちゃんの食べている所を見ても退屈なだけだしね。
「部屋から出すなとの…」
「そうだね」
一君の言葉を遮りながら総司は一君の持っていた膳を取って平助に渡した。
「総牙もこの子が食べるのを見ているだけなんて退屈かもしれないしね」
「なんでオレに渡すんだよ!」
「言い出しっぺは君だからね。さ、行くよ」
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