鬼物語
□漆章:傷跡・後編
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*―*―*
俺があの化け物に襲われた次の日、俺は土方さんに呼ばれ広間へと向かっていた。
昨日の事で話がある、そう土方さんは言っていた。
広間の扉を開け、中に入れば幹部の人たち全員がいた。
「来たか…」
『…………』
「怪我は大丈夫か?」
『手当てをしましたから大丈夫です。出血の割には怪我は深くないので今後の隊務への支障はありません』
正直、嘘を言うのは気が引けてしまう。
だけど、俺たち兄妹の体質の事だけは知られたくない。
また、拒絶されるかもしれない。
また、昔みたいに化け物を見るような目で見るかもしれない。
そんなことはもう嫌だから…。
「おい総牙…総牙!」
『!』
つい考え事に耽っていた俺は土方さんの呼び掛けにハッと我にかえった。
「なにさっきからボーっとしてやがる」
『…すみません』
昨日の夜の事で今はどうしても曖昧な返事でしか返す事が出来ない。
「まぁいい…。で総牙」
『はい…』
「お前は幹部の奴らと同様に昨夜見たことは他の奴らには他言無用だ。いいな?」
『それで…いいんですか?』
「いつかは知っちまうと思っていた時期が早まっただけだ。てめえが気にする事じゃねぇ」
『そう、ですか』
それからして俺は色んな事を聞かされた。
変若水の事―。
昨日、俺を襲ってきた奴…羅刹の事―。
新選組が隠していた秘密を全部…。
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