鬼物語

□肆章:試合
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「始めっ!」


土方歳三の声を合図に俺は床を蹴った。


『はぁぁっ!』


ガキンッ―…。


「っ……なかなかやるね」
『言いましたよね?油断してると怪我しますよって』
「あははっ、確かに言ったね」


*―*―*

【千晶said】


「始めっ!」


土方さんの声を合図に総牙は床を蹴った。


「はぁぁっ!」


ガキンッ―…。

目にも止まらない素早い動きで沖田総司さんに攻撃をいれた。


「おい…、今の動き見えたか?」
「いや…。見えなかった」
「アイツすっげぇ速ぇな…」


隣にいる永倉さん、原田さん、藤堂さんがそう言うのも無理はない。

総牙は生まれつき身体能力が高い。

しかも日を重ねる度、総牙の身体能力は下がる所か逆に向上している。

三人が速いと言うのも総牙の身体能力が今でもずば抜けているから。

だけど、


『前より…速くなってる』


*―*―*

【総牙said】


『はぁはぁ…息…上がってきてますよ…総司さん』
「そっちも…はぁ…上がってきてる…でしょ」


さすが沖田総司…。

一太刀一太刀、放つ攻撃が重い。

もう何分以上も打ち合いをしてたのだろうか。

さすがに息も上がり始める。

だが、お陰でなんとなくだが攻撃する時に僅かな隙が出来ていることが判り始めた。

その隙をつけば…


『総司さん…、そろそろ終わらせますよ』


そう沖田総司に言うと俺は三段突きをする体勢をとった。


「!?」


三段突きの構えに目を見開き僅な隙が出てきた、俺はそれを見逃さなかった。


『はぁっ!』
「くっ…!」


ガンッ、ガンッ、ガキンッ―。

1度目と2度目は防がれたものの3度目の突きで沖田総司の刀を弾き、俺はすかさず彼の喉元に刀を向けた。


「そこまで!」


土方さんの声が響き渡り俺は刀を下ろした。


『はぁ…はぁ…俺の…勝ちですね…』
「そうみたいだね…。まさか…三段突きまで…できてた…なんてね」
『三段突きは…祖父から教えてもらった剣技の中で…最も得意とする……ものですから…ね…』


*―*―*

【千晶said】


「そこまで!」


土方さんの声が響き渡る。

総牙が総司さんに勝ったのだ。


「すっげー!あの総司に勝っちまうなんてな!」
「しかも、総司が得意とする三段突きまで出来ちまってるからな」


そう私の隣で話していると総牙が戻ってきた。


『お疲れ総牙』
「ん、ありがと。さすがに総司さん相手は疲れるな」
『でも総牙、物凄く楽しそうだったよ』
「そりゃ久しぶりに強い人と試合したからね。楽しかったに決まってるでしょ」


そう言うと総牙はニカッと笑った。

総牙にとって私たちがいた時代は退屈でならない。

だけど総牙にとってはこの時代は何もかもが新鮮で楽しい事だらけ。



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