鬼物語

□参章:対面
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「でさぁ土方さん。コイツらどうすんの?」


平助…でいいか…が俺たちを指さしながら土方さんに聞いていく。

人を指差しちゃいけませんってお母さんに習いませんでしたか。


「とりあえず、コイツらは新選組で預かることにする。話が本当なら例え何処かへ逃げたとしても行き場所なんてねぇだろうしな。近藤さんには後から俺が伝えておく」


痛い所を的確に突いてくる。

さすが鬼副長です、と俺はつい呟きそうになったが後がめんどくさくなりそうな予感がして言い止めた。


「土方さん、どうせ新選組で預かるくらいならこの二人を隊士にしましょうよ。この子達随分とやれそうな気がするんですよ」


沖田総司の発言に俺たちはこれはいい考えかもしれないと思ったが、土方さんはまた眉間のシワを深く寄せた。


「馬鹿言ってんじゃねぇ。んなこと出来るわけ…」
『別に構いませんよ。それなりですがやれる自信だけはあります』
「私も総牙と同じ考えです」
『だそうですよ、土方さん』
「……あー、くそっ。分かったよ」


折れたのか土方さんは渋々と承諾した。

俺たちは内心ホッとしたが、


「ただし、お前らには幹部の連中の誰かと一対一の試合をしてもらう。試合での動きを見てからお前らの入隊を決める、それで文句ねぇだろ」


土方さんの言葉でまだホッとするのは早すぎたようだった。

だが、幹部の人と試合をして自分の実力を認めてもらえばいい話だと直ぐに理解できた。


『はい』
「それでお願いします」
「では、さっそく…と言いたいのですがまだ貴方方の名前を聞いていませんでしたね」
「そうだな」
「ねぇ、君たちの名前ってなんて言うの?」
『総牙、沖田総牙』
「妹の沖田千晶です」
「ふーん…沖田ねぇ…。名字が同じなんて偶然だね」
『偶然も何も…。俺たちは貴方の子孫あたるようなものですから名字が同じになるの可能性くらいはあると思いますよ、沖田総司さん』
「僕の子孫、ねぇ。まぁ、なんとなく想像はしてたけどね」
『……』


沖田総司はキラキラと輝くような笑顔をしながら俺たちに言った。

なんとなくでそこまで想像出来るものなのかな?




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