鬼物語
□参章:対面
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【総牙said】
沖田総司に連れられ、俺たち兄妹は今新選組の屯所の中に居ます。
「すっげー。コイツ、マジで総司にそっくりじゃん!」
「本当にそっくりだな…兄弟に見えても可笑しくねぇ…。総司も髪切ったらこうなるんじゃねぇか?」
「総司、切ってみるか?」
「いくら新八さんでも殺しますよ?」
屯所に連れられた俺たちは直ぐ様、新選組の幹部と思う人たちから奇異と好奇心の視線を浴びた。
それもそのはず。
千晶と沖田総司を除く新選組のリーダーみたいな皆様曰く、俺とご先祖様が兄弟…というより双子の様に顔がそっくり…だからだそうです。
そんな事でガヤガヤとしゃべっている頭に緑のバンダナをして腕の筋肉を自慢気に見せている男・永倉新八、赤髪で色気がムンムンとかもし出され、いかにも女なれしてそうなフェロモン男・原田左之助、そして小柄で長い栗色の髪を高く結んでいる多分少年・藤堂平助に向かって一喝の台詞が飛ぶ。
「おい新八、左之、平助。ちったぁ静かにしやがれ」
一喝の台詞を飛ばしたのは芸能人の様な、男の俺から見ても綺麗な顔立ちで長い黒髪をポニーテール風に結んで眉間にシワを寄せている男・土方歳三。
鬼みたいだなーと思ったのはここだけの秘密。
「土方さん、そんなに眉間にシワを寄せたら鬼みたいな顔になりますよ。あ、既に鬼でしたね鬼副長」
と茶化すと土方さん…でいいのかな?まぁいいや。土方さんはより一層眉間に深くシワを寄せ沖田総司を睨みつけた。
「総司、てめえは一言多いんだよ。少しは黙ってろ」
「はいはい」
そういうと沖田総司は何やらニヤニヤしながら黙った。
そして、再び土方さんが俺たちの方を向き直り何かを貫く様な目をする。
「で、てめえらは何者だ…。長州の者か…?」
『いえ、俺たちは長州の者では無いですよ。率直に本当の事を言うのでしたら未来から来ました、と言うべきですかね』
「「「「…は?」」」」
俺たちが未来から来たと言うと幹部の皆さんはポカンと口を開いた。
突然そんな事言われれば誰だってそうなる。
「ぷっ…あははっ!君さ、それって冗談のつもり?冗談にしては行き過ぎてない?あははははっ!」
……さっきから笑っている沖田総司を除いて。
「冗談なんかではありません…。信じてもらえないかと思いますが本当に未来から来たんです…」
「ふーん…。
だそうですよ、土方さん」
誰もが彼に視線を向ける。
ふぅ…と土方さんは小さく息を吐き出す。
「…………てめえらがその未来ってやつから来たっていう証拠はあんのか?」
『証拠、ですか…証拠らしい証拠と言ってもあまり手持ちはないし、携帯とかは道場に置いてるようなものだからこれくらいしか…』
俺はこの時代に来てからずっと持っていた加州清光と千晶の持っていた大和守安定を前に出した。
「!?」
「おいこれって…!」
「まさか…」
「…………僕の刀……。加州清光と…大和守安定……」
沖田総司は刀を手に取り抜刀し、まじまじと刀の刃を見る。
そして、刃を鞘に収め俺たちの前に刀を戻す。
「どうだった総司?」
「やっぱり僕の刀と同じですね。刀の重さ、鯉口の形に柄の握り具合…どれをとっても同じです」
沖田総司がそういうと土方歳三はしばらく黙り込むが直ぐに口を開く。
「…………てめえらを未来から来たっていうのを認めざるえねぇみたいだな」
『そうですか、認めてもらえてよかったです』
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