鬼物語
□弐章:出合い
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「そこの二人、怪我とかない?」
『あ、いえ大丈夫です。怪我は1つもしていませんので』
「へー」
そういいながら沖田総司は俺たち兄妹をまるで珍しい物を見るかのように上から下までじろじろと見始めた。
「ねぇ、総牙」
『何?』
「この人、もしかしたら私たちのご先祖様じゃない?」
『は?』
小声で千晶にそう言われて俺は首を傾げた。
こいつが俺達の先祖?
「前におばあちゃんにね、私たちの家の家系図を見せてもらったときにこの人と同じ名前の人が載ってたから…もしかしてと思って…」
確かに言われてみれば満更そう思えなくもないかもしれない。
俺の名前はもともとご先祖様の名前からとっているって父さんたちから聞いたことあるし、それになんとなく…なんとなく不思議と他人ではないような感じもしてくる。
「そういえばさ、君たちの格好ここじゃあまり見なれないね。異国から来たの?」
「いえ、私たちは…その……」『…………』
異国…外国から来たわけではない、俺たちは正真正銘の日本人。
だけど俺たちはこの時代の人じゃなく、おそらく未来から来た人になる。
だがこんな所…しかも大勢の人がいる道のど真ん中でそう安々とそんな事は言える筈もなく俺たち兄妹は黙り込む。
「その様子からだと訳有りみたいだね」
黙り込む俺たちに察した沖田総司はあることを言い出した。
「じゃあさ、これから新選組の屯所に来てくれないかな?」
『え?』
「屯所……ですか?」
「うん、君たちってさ……凄く怪しいから」
『「…………」』
さらりと正論を説かれた。
「大人しくしててよね。じゃないと勢い余って斬っちゃうかもしれないし」
沖田総司の言葉にゾッとしたのは俺だけではないはずだ。
そして俺たちが沖田総司により新選組の屯所とやらに連行されることになったのは後の話になる。
弐章・終