鬼物語

□拾伍章:流れゆく刻
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<千晶said>


元治元年八月。

御所に討ち入ろうとして幕府側に退けられた長州藩士が京の町に火を放ってから、一月の月日が経とうとしていた。

少しずつ涼しくなり、暑さも少しは和らいだかと思っていても、まだこの時代の暦ではまだ夏。

暑さは当然続いていた。


『総牙、絶対外に出歩いちゃダメだからね!まだ体調が良くないんだからさ』
「判ってるよ。千晶は過保護者だね」
『あの時からずっと体調崩して心配しているから言ってるの!』


総牙の皮肉めいた言葉に私は思わず声を荒上げる。

あの時とは禁門の変と言われたあの事件の後の事だった。




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