鬼物語
□拾壱章:池田屋事件・後編
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〜沖田said〜
平助たちが出て行った後、僕は二回の奥の部屋で、窓辺に腰掛けてた男と戦っていた。
『はぁぁ!』
鋭い突きを男に浴びせる。
男はそれをかわすが早いか、ひらりと僕の背後に回る。
出来る、と思う間もなく、今度は僕が振り向きざまに男の胴を払おうとした。
バキッ―。
けど、僕の刀は未だ抜かれていない男の刀の鞘によって阻まれ、鈍い音をたてて、鞘が割れた。
「……」
男は、僕の刀の刃を受けたところが割れているのにちらりと目をやると、ようやく割れた鞘を払った。
「少しは歯応えがあるだろうな?」
『油断してると、歯応えどころか何も噛めない身体になるよ』
不敵な笑みを浮かべた僕は、正面に立っている男にさっきより速い突きを繰り出す。
『っ!』
だけど、今度は抜き身の刀がそれを受け止めた。
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