鬼物語
□捌章:新選組の秘密
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【総牙said】
文久四年1月―。
俺たちがこの時代に来て4ヶ月近く経った。
土方さんと山南さんは今、大阪に出張中で屯所内はある意味で静かだった。
『ふぁ…ねむ…』
俺はある事をしているため今、日の光が照る縁側にいる。
それは千鶴ちゃんの監視。
監視と言っても言い方を変えれば仕事を押し付けられたとも言えるが、押し付けた相手は誰かとは言わない。
あの後から土方さんに聞いた話によると、千鶴ちゃんがこの屯所にいるのはアイツら……羅刹を見たから監禁しているらしい。
実際の所、俺は"監禁"と言う単語はあんまり好きじゃない。
あまりいい響きがしないからね。
だが、それにしても…。
『…………暇、そして寒い』
厚着をしても今は1月でかなり冷え込む。しかもこの時代の京都の冬なんて現代の東京の冬に比べてみれば圧倒的に寒さ。
そう思っていると不意に部屋の障子が開き、千鶴ちゃんが顔を出した。
けど、千鶴ちゃんはこっちの存在に気付かず独り言を呟く。
「はぁ…、小太刀は返してもらって安心したけど、何もしないっていうのは手持ち無沙汰かも…」
そうやってブツブツと呟く千鶴ちゃん。
ってあれ?まさか俺の存在に気づいてない?
「それにしても、もう数日……。もしかして、このままずっと幽閉されてしまうんじゃ…?」
さすがに声かけた方がいいよね?
これ以上独り言聞くのって俺的にどうかと思う。
『あのさ、それは千鶴ちゃんの心掛け次第じゃないかな』
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