鬼物語

□漆章:傷跡・後編
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【総牙said】


『はぁ…っ、はぁ…』


土方さん達から逃げるように立ち去った俺は人気(ひとけ)の無い場所まで来ていた。

そこで改めて怪我をしていた自分の二の腕を見れば、完全に血は止まり、傷はもう塞がっていて治っていた。


『なんで…治ってるのさ…』


怪我をしても直ぐに治ってしまう俺の生まれながらにして不気味な体質。
そのせいで俺は幼い頃から近所や学校の人たちに化け物扱いされ、気味悪がられた。

もちろんそれは俺だけじゃない。
千晶も同じ体質持って生まれてきてしまったせいで俺と同様に気味悪がられていた。
何故自分たちは他の人と違うのか父さんや母さん達に聞いても何も話してくれなかったし、時期がくれば話すと言うばかりだった。

そんな事ばかり思い出していると不意に千晶の気配を近くで感じ、横を向けば千晶が不安げな顔をして俺を見ていた。


「総牙…怪我したの?」
『…したって言ってももう治ってるけどね』


千晶に怪我をしていたところを見せて俺は自嘲気味に笑う。


『これじゃ、本当に化け物って言われても可笑しくないよ…』
「総牙は…化け物なんかじゃないよ…!」


そう言うと千晶は包み込むように俺を抱き締める。


「総牙は人間だよ。もし総牙が化け物なら、総牙の…お兄ちゃんの妹の私も化け物だよ…」


その言葉を聞いた俺は自然と心のどこかで安心感をおぼえる。



『ごめん…だけどありがとう千晶』


そう言って俺は千晶を抱き締め直した。






















「総牙さん達が……化け物?」




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