鬼物語

□伍章:似ているあの子
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【千晶side】


私たち兄妹がここ新選組に入隊して3ヶ月という時間が経ちました。

私は斎藤さんが率いる三番隊の伍長に、総牙は総司兄さんこと総司さんが率いる一番隊で組長補佐兼副長助僅(という名目のただの総司さんの尻拭い)をする事になったそうです。

ドタドタ―。


「待て総司ー!」
「鬼さんこちら、手の鳴る方へ」


何処からか聞こえる怒りを孕んだ声と無邪気な子供みたいに軽快なリズムをとる声。また始まった最早日常となりかけている総牙と総司さんの鬼ごっこ。
この鬼ごっこが始まる理由の大半は私たちの総司さんにあります。


「お前また俺の金平糖食っただろ!」
「だってあんなとこに置いてると"食べて下さい"って言ってる様なものじゃん」
「それで本当に食べる奴があるかー!」


総牙の怒号が屯所内に響き渡る。
最近、総牙の怒り方が土方さんに似てきているような気がしてきました…総牙…ご愁傷様…。


「千晶」


心の中で総牙を哀れんでいる私に後ろから話しかけてきたのは三番隊組長こと斎藤さんだった。


『あ、斎藤さん。おはようございます』
「……またあの二人はやっているのか…」
『ははは…。はい、またあの二人です…』


いつもの光景ではあるが、はぁ…、と溜め息をつく斎藤さんに私はついつい苦笑いをもらしてしまった。



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