鬼物語
□肆章:試合
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【千晶said】
私たち兄妹は試合で実力を見られるために、ここ新選組の道場にいます。
私の相手は斎藤一さん。
総牙の相手は沖田総司さんです。
『あの、よろしくお願いします』
私の相手は斎藤さんに軽く挨拶をした後、木刀を手に持った。
「構わん、いつでも来い」
『はい』
互いに木刀を構えると、辺りは一瞬で沈黙に包まれた。
「これより試合を始める。始めっ!」
土方さんの合図で試合が始まった。
『…………いきます』
私はそう小さく呟く体勢を低くし、思いっきり道場の床を蹴った。
そして最も得意とする居合いを斎藤さんにいれるようとするが、斎藤さんも同じように居合いで私の木刀を止める。
『斎藤さんも居合いで来ますか…』
「無駄口を叩くな。油断をすれば直ぐに斬られるぞ」
『そう、ですね…っ』
だが男女の力の差なのか相手を押しやる事が難しい、しかしそれ以上に自分が得意な居合いが通用しなかったことが何より悔しい。
鍔迫り合いによってギリギリと木刀は音を立て、ほんの少しの間で私は少し押され構えを少しだけ崩してしまう。
体勢を立て直そうとするがそこを斎藤さんは見逃さず、私の木刀を弾いた。
『きゃっ』
私は思わず尻餅を着き、その場に倒れ込む。
顔を上げれば私に木刀を向ける斎藤さんがいた。
「そこまで!」
土方さんの試合を終わらせる声が響き渡る。
斎藤さんは木刀をなおし、私に手を差し伸べた。
「大丈夫か?」
『は、はい。大丈夫です』
私は差し伸べられた彼の手をとり、立ち上がった。
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