鬼物語

□弐章:出合い
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【総牙side】


総牙です…。
今、物凄く面倒な人たちに絡まれてます。


「惚けても無駄だ!てめえは沖田総司だ!」
『ふざけんなよ俺は沖田総司じゃなくて沖田総牙だ。そのことくらいは把握しろってんだよこの馬面!』


多分今までに言われたことのない罵倒を浴びせられたのかオッサンは頭にきて腰に差していた刀を抜いた。
それを見た町の人たちは悲鳴などをあげ、まるで虫のように素早くその場から離れていく。


「馬鹿にしやがって、覚悟しやがれ沖田総司!」


だから沖田総司なんかじゃないってば…。
そんな俺の心の訴えも虚しく消え、オッサンが俺目掛けて斬りかかろうとしたその時――。


「ねぇ君たち、随分と楽しそうな事してるね」


声のする方をバッと振り向くとそこには俺たち兄妹と同じ翡翠色の瞳に栗色の髪を肩まで伸ばした男が立っていた。


「なっ、沖田総司!?」
「ご名答……で、続きやるの?やらないの?」


沖田総司と言う人はゆっくりと口元を弧で描く。
分が悪くなったのかオッサンは急いで刀を収め、その場を立ち去った。


「ちっ……覚えてやがれ!」


なんとも決まりきったようなお決まりの捨て台詞を言いながら…。




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