鬼物語

□壱章:狂い始めた日常
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【総牙side】


―――――ドスンッ!


『いってぇ…』
「いたた…」


鈍い音と同時に尻餅をついた。

痛みに耐えながら俺は周りを見渡す。
木材で作られた建物、いきなり現れた俺たちを不思議そうに見つめる着物を着た人たちが目に入る。


『なに…ここ…?』
「タイムスリップした……って訳じゃないよね?」
『あはは。そんなはずあるわけ……ないでいて欲しいかもね』


さっきの変な声に身体の重力感が無くなったかのような現象、急激に襲ってきた頭の奥を何かが抉りだすような頭の痛み。
どれをとっても今まで経験した事は無かった。いや、例え経験したとしてもそれはそれで嫌だ。

これは夢だと思いつつ現実逃避をするように試しに自分の頬を軽く摘まんで引っ張ってみたが結果は痛かったで終わった。

現実逃避は失敗し、今ある現実を受け入れるべく俺は少しずつ自分に落ち着けと暗示をかけた。

『とりあえず、今が何年の何月か聞いてみよう……』
「すみませーん」
『って行動早っ!……あぁもう誰に似たんだか…少しは考えて行動して欲しいものだね』




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