鬼物語
□参章:対面
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【千晶said】
沖田……じゃなかった総司さんに連れられて来た新選組の屯所。
新選組副長の土方さんの話によると私たちは新選組幹部の誰かと試合をして実力があればここ、新選組の隊士として居ることになる。
「で、てめえらの試合の相手だが…千晶」
『は、はい!』
突然名前を呼ばれて思わずビクッと肩が上がってしまう。
「お前の試合の相手は斎藤だ」
私の試合……いや実力を見る人が決まった。
『斎藤さん…ですか?』
「あぁ」
「今ここには居ねぇけど、この新選組の三番組組長を務めてんだよ」
近くにいた藤堂さんが私にそっと耳打ちをする。
斎藤さん、か…。
『わかりました』
私は不安になりながらも静かに頷いた。
「それと総牙はてめえの相手はし…」
「はいはーい土方さん。僕が総牙の相手をしまーす」
総牙の試合の相手が言われようとしたとき、土方さんの言葉を勢いよくかき消す様に総司さんが名乗りを上げた。
「…………総司。てめえの試合は試合じゃねぇんだ、少し黙ってろ」
「土方さん、僕に対して失礼ですよ」
「失礼も何も本当の事だろうが。木刀での試合に真剣を使う奴があるか」
「別に良いじゃないですか、木刀での試合に真剣使うくらい」
「馬鹿野郎!てめえ万が一の事がありゃどうすんだ」
何か物騒な単語が混じりながらも土方さんと総司さんの口論が約30分くらい続いた。
*―*―*
「あーくそ、分かったよ!総牙!」
「はい」
「てめえの相手は総司だ、異論はねぇな」
「異論なんてありませんよ」
これで私たち兄妹の力を試す相手がきまった。
参章・終