3番地

□海賊の日常
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「マンゴ、紅茶」
「お、あんがと」
「マンクー、ケーキ」
「たまには自分でやるべきだと思うがなタガー。はい、ミスト」
「ありがとうマンカス。タガーはお礼位言ったらどうなの?バカなの?」
「ちょっ、おまミストひで!俺は馬鹿じゃねーよだ!」
「そーゆーふうにすぐ突っかかるから子供って言われるんだよ」
「スキンブルの言うとおりだと俺思うわ〜」

俺たち船員は今日は優雅にティータイムだ。
俺は前の船で金持ちとの会食に呼ばれる事も多かったし、海に出る前は父親とか母親に叩き込まれたからね。
タガーは海軍だといっても頭は良い方だ。見よう見まねで覚えた。
ミストは俺が教えたらすぐ覚えたし、スキンブルも教養と言う事で覚えていたし、マンゴも不器用なりに頑張っている。

「こんなに優雅な海賊もいないだろうな」
「そら言えるわマンカス」
「そーだねぇ」

俺の独り言は周りが肯定してくれる。
この空気が俺は好きだ。
なんとも形容し難いけれど、居心地が良い。
昔なら、慣れは深めすぎると崩れる、ならば去れと思っていた。
でも、スキンブルに会って、マンゴに会って、タガーに会って、ミストに出会って、この生ぬるい空気が大好きになった。
慣れとは少し違う、『信頼』という形を知ったからか。

「マンカスのケーキってホント美味しいよな」
「うん、紅茶も色々選べるから本当に助かるよ」
「うまい」
「うんうん」

昔はこんなモノなんて作らなかったな。
昔の船は料理番はいるし、スイーツなんか食べる暇がなくて全く縁がなかった。
だけど、マンゴが一生懸命料理を作ってるのを見て、俺もなんか作れないかなってのがきっかけだったな…
でも、この船は甘いもの好きが多いし、船長も意外に食べるし、まぁ良いかなって思う。

「マンカス、今度はチーズケーキ作ってよ」
「わかった」

これが海賊のやる事か?
いや、違うだろうな。
だけど、これが海賊の俺の幸せな事だから。

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