小説
□スイッチを押すとき
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スイッチを押すとき
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「「…………」」
「おい、聖川」
「なんだ…」
「お前が押せよ、俺は痛い目にあうのは嫌だぜ」
「俺とて同じだ…だが…」
早乙女学園に入学して1日目。
神宮寺と一緒の部屋になり、運を呪った。
だがしかし、いつもライバルであった俺たちは今それどころではなかった。
「…押さないことには前へは進まない」
「じゃあ誰が押すんだよ?お前か?」
「俺は…いや。俺が押そう。男としてこれしきのこと出来なくては恥ずかしい」
「そうしてくれると助かるね。俺だってコイツを一生押せなくてレディに嫌われたら嫌だからね」
「では…いくぞ」
「あっあぁ…」
俺はコイツからすでに距離を取っている神宮寺を横目に見ながら、押してくださいアピールをしているコイツを押した。
ピッ
…ゴーゴーゴーゴーッ!!
アイツは押した瞬間激しい音を立て、左右に揺れだした。
「ひっ聖川!お前なにしたんだよ!」
「俺はボタンを押しただけ…あっ!神宮寺逃げるとは卑怯だぞ!」
扉を派手に開け逃げる神宮寺の背を追った。
さすがの俺もアイツの近くにいては何に巻き込まれるか分からんからな!
神宮寺と聖川が出ていった部屋には新品の洗濯機が、寂しく鳴いていた。
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▼あとがき
洗濯機とかの家電製品に怖がってればいいよ、御曹司組。
でも炊飯器とか料理に使う家電製品には慣れてそう
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