紅い桜は鬼の如く……
□拾壱
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千鶴「道場に行くまでに止んだらいいですね」
『びしょ濡れになって風邪をひいたら笑っちゃうよ』
千鶴「そうですね」
千鶴ちゃんとの雑談はそれほどペチャクチャ喋らなくとも楽しかった。
ただ廊下で足をほっぽり出し、雨降る空を眺めていた。
千鶴ちゃんはおとなしく正座をしていたけどね。
千鶴「魅也さん、お茶でも入れてきますね」
『え、いいよ。そんなバタバタしなくっても』
千鶴「いいえ。その間に厚着をしてきてください。いくら夏だと言っても雨がこれだけ降っているんです。随分寒いんですよ?」
『でも………』
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