紅い桜は鬼の如く……

□漆
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千鶴「失礼します、千鶴です」


『魅也です』


近藤「あぁ、二人共入って来なさい」



近藤さんの優しい声色。


私たちの事を怒っている訳ではないらしい。





襖をあけると私たちを睨みつけた土方さんが……、と思ったのだが、今日の土方さんは何処か優しい顔をしていた。


土方さんの目の下に血を塗った日から、食事で会うぐらいで、まともに目をあわせる事なんてなかった。



ポカンとしている私を土方さんは気づき、
「何アホ面してるんだ」
と女にはキツイ一言を言ってきた。


もちろん、
『アホ面とはなんですか!アホ面とは!』
と反論したが、
「トシも魅也君もやめなさい。喧嘩は仲良く後でしなさい」
と近藤さんの一言でちょっとした喧嘩は終わった。


千鶴ちゃんはいつも通り、苦笑いしつつも、微笑んで私たちを見ていた。





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