紅い桜は鬼の如く……

□伍
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―――――。。。



原「ここだぜ。ここらで一番綺麗な桜が見れる所だぞ」



連れて来られた場所は、とんでもない場所だった。



『ここ……』



目の前に広がる光景はあまり見たくない場所だった。今の私にはあまりにも濃くて重い景色。



原「あぁ、お前を見つけた場所だ」



私が新選組に初めて出会った日のあの桜の木。


あの時はまだ咲いていなかった桜は、今満開に咲き乱れ、なんというか……



『花園の桜だ……』


千鶴「花園ですか?」


『へ?あ、なんでもないよ』



口が滑った。


あの夢の話は誰にもしていないからそれほど焦ることでもないんだけど。



原「魅也はここで倒れていたんだ。血だらけになっててな。なのに傷が一つもなかったんだ」


『………』
千鶴「傷が?」



それは私が鬼だったから。


そんな考えが二人の頭を過ぎった。


まだ千鶴ちゃん本人が鬼だとは言っていない。しかし私が鬼だということは知っている。


千鶴ちゃんも鬼なんだという事を、言わないといけないんだけど……知るのは早い方がいい。


羅刹に襲われたときに私の血にかなり歓喜の声を上げていたから、何か鬼の血と羅刹には因果関係があるんだろう。


私は知るのが異様に早かったから、この時代の者ではないから、あまりショックは受けなかったけど、千鶴ちゃんみたいにこの世ので生きる人からだったら辛いこともあるだろう。



原「………魅也、お前泣いてるのか?」


『へ?』


藤「なんか悲しい顔をしているぞ」



私は藤堂さんたちの申しに軽く膨れ、茶化した様子で言葉を発した。



『……そんな事ないですよ。私はただ、桜の思い出に浸っていただけです』


藤「………」



あの鬼の花園の中心にあった大きな大きな桜の木。


あの下で笑っているみんなの顔が浮かぶ。


髪は白く、目は紅い。
あのみんなはいったいなんなんだろう?


羅刹のようだった。


でも、あの微笑みはとても美しく、羅刹が出来るような微笑みじゃなかった。





特に土方さんが綺麗だったな……




藤「何をニヤニヤしてるんだ?」


『へ!?いえいえ!!ニヤニヤなんかしてません!!』



藤堂さんの一言に思わず全力で否定してしまった。


原田さんはそれを見て、余計に笑った。


私をどれだけ馬鹿にしてるんだ!!と心の中で叫んだものの、事実であったため言葉には出来なかった。



うぬぬと唸っていると、


千鶴「魅也さんが暴走しそうですから止めてください!」


原「千鶴、とっくに壊れてるから心配するな」


と、二人とも酷かった。








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