紅い桜は鬼の如く……
□肆
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美味しいものを食べるのは大好きだが、元から大食いではない私。
小食でもないが、この味にはまいってしまう。
結局全ての食事(テンコ盛りの飯、焦げた鰯、青菜のお浸し、冷えた味噌汁)を一口ずつ食べて、食事を終えた。
沖「魅也ちゃん、死ぬ気?」
『いえ、沖田さんが心配するような事じゃありませんから。沖田さんだってお酒飲んでるじゃないですか』
沖「僕はいいの。あんまり腹一杯に食べると馬鹿になるしね。それに、君の事は近藤さんからも土方さんからも頼まれているの。近藤さんは「倒れないように、食事を三食と睡眠をしっかりさせてあげて」、土方さんは「絶対に逃がすなよ」って言ってたけど、二人共心配してるんだよ」
『ですから大丈夫……』
沖「話してる間に倒れる奴がグダグダ言わないで」
『っ……』
沖田さんの口調に息を呑んだ。
私の食事の残りをバクバク食っていた永倉さんは「そんな睨み合うな。仲良くしろ」と言う。
沖田さんはそれを聞いて、また酒を飲んだ。
私は膝に手を置いて服ごと握っていた。
何故か悔しかった。
斎「ならば、総司のおかず、俺がいただく」
いつも冷静な斎藤さんが、素早く沖田さんの膳に箸を伸ばす。
一瞬遅れて永倉さんも沖田さんの正面まで歩み寄ると、残った白飯をさっと自分の茶碗に移してしまった。
『永倉さん、まだ食べるんですか?』
永「俺は体がデカイからな。それ相応な飯がいるんだよ」
斎「お前も、自分の飯は自分で守れ」
『クスッ……』
斎「……何故笑う?」
『いえ、斎藤さんも案外みんな変わらないんだなって思いまして』
斎「っ!?」
私の言葉に少しばかり顔を赤くした斎藤さん。
千鶴ちゃんと顔を見合わせて笑った。
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