白い桜は華の如く……
□壱
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“……さん!”
『……?』
誰?
誰の声なの?
綺麗な桜が咲いている木の下で、叫んでいる女の子。
月の光で、はっきり見えた。
私より歳は上だろう。
なのに、背丈、恰好、
『っ……私…?』
顔が……そっくりだった。
“土方さん!何処ですか!、土方さん!!!”
『………』
そっくりなのに、全然違う。
とても綺麗な人だった。
容姿、声、心。
すべて桜のようだった。
何故、この人は土方さんの名前を呼んでいるんだろう?
鈍感な私には、そんなこと気付けなかった。
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