紅い桜は鬼の如く……

□玖
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山南「秋桜君、雪村君。私たちは屯所を守るように言われました」


千鶴「山南さんが守ってくれるのですか?」


山南「はい。変に病人にやらせるより、私にやらせた方がいいようですし」


『………』



すっかり新撰組から人気が消えた頃、一室に山南さんに千鶴ちゃん、それに私がいた。


“誠”の文字を染め抜いた真紅の旗を蝋燭の明かりが照らし出す。



“留守の間のことは、すべて山南さんに任せたぜ”



そう言ったしんがりにいた土方さんの姿が忘れない。
千鶴ちゃんに伝わるほどソワソワしていたのかもしれない。



討ち入りにいけなかった山南さんは私たちに当たるように言葉を突き刺す。



戦にいけないでじっと指をくわえて待っているしかないだなんて、かなりキツイことだ。


私のような分際でもよくわかる。




そんな中、全身黒尽くめの男が部屋に音もなく入ってきた。


千鶴ちゃんは気付いてさえいなかった。






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