紅い桜は鬼の如く……
□陸
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〜四月〜
『ケホッケホッ……』
千鶴「魅也さん?大丈夫ですか?」
『久しぶりだよ。こんな長風邪になったのは』
一ヶ月ばかり風邪をひき続けている。
喉は枯れていないんだが、頭を圧迫するような頭痛と締め付けるような頭痛を交互に受けて、脳はフラフラだ。
千鶴「魅也さん?」
『ん?』
千鶴「大丈夫ですか?」
『大丈夫。頭痛が酷いけど、じきに治るし』
千鶴「そうですか……無理しないでくださいね」
頭痛がズキズキとまた痛み始める。
困ったもんだな。
ビュー!!!
『わっ!!』
千鶴「あ……」
風のせいで結い紐がとんで行ってしまった。
おかげで長い髪がバッサリと垂れ落ちた。
『道場行く途中だったのに〜!』
千鶴「どうしましょうか?」
『ん〜………』
沖「魅也ちゃん?」
『沖田さん、どうしたんですか?道場にいるんじゃ………』
沖「魅也ちゃんがなかなか来ないから迎えにきたんだよ」
『一ヶ月だけですよ』
沖「十分だよ」
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