紅い桜は鬼の如く……
□伍
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〜元治元年、三月〜
『千鶴ちゃん!桜!桜が舞ってるよ!』
千鶴「魅也さん、このところいつも言ってますよね」
『綺麗だからいいの』
三月といってもこの時代では十分暖かく、今日の桜は満開を向かえた。
原「お〜い。魅也、千鶴」
『原田さん?どうしました?』
原「外に出ようぜ。外出許可はとってある」
ニコニコと笑いながらこちらに歩いてきながら手を振る原田さんの言葉に、少し疑問を覚える。
『いいんですか?巡察にも同行させていただいてないのに』
原「あと二三ヶ月はかかるらしいが……まあ今は大丈夫だ!」
『そうなんですか……ありがとうございます』
私の言葉が終わると原田さんは門に向かって歩き出す。
慌てて原田さんを追いかけて腕を掴む。
『出かけるって何処に出かけるんですか?』
原「ついてきたらわかる。来るだろ?」
『……面白そうですし、行きます。千鶴ちゃんも行こう?』
千鶴「はい!私も行きます」
原「そうこなくっちゃあな」
原田さんは笑って私の手を引っ張ると、足袋を履かせて、何処から招集したのか沖田さん、藤堂さん、斎藤さんと共に、新選組の門から出た。
酔ったときのいざこざは、私が土下座をせんばかりの勢いで謝った甲斐があったのか、みんな笑って許してくれた。
斎藤さんに限っては、平手打ちしたことを謝ってくれた。
私も同じように殴ったことを謝った
斎藤さん少し驚いた様子を見せたが、その顔に私も驚いてしまう。
すぐに吹き出してしまった私は斎藤さんに呆れ顔をされたが、斎藤さんも今までとは違う柔らかい雰囲気を纏っていた。
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