小説 ヘタリア

□アメリカの・・・
1ページ/1ページ

  
 俺はアメリカの家に向かっていた。俺が作った温かい紅茶とスコーンを届けるために。

「この季節アメリカは寒いかならな。アメリカ喜ぶだろうな」

 かじかむ手に白い息を吹きかけながら俺は足を進めた。



 アメリカの家に着いた。

 今も昔も変わらない家。俺はこの家がいとしく感じた。

 俺はインターホンに手を伸ばした。


 ドキャッ  バシュッ

 
 ぴたりと俺の手は止まった。

 アメリカの家の中から聞こえる奇妙な音。俺には男のうめき声も聞こえたような気もした。が、それはきっと勘違いだ。勘違いであってほしい。

 
 この寒い季節になぜか汗がにじんでくる。


 俺はなぜか汗ばんで震える手を再びインターホンに伸ばした。

 ピンポーン

 
 「・・おーい。アメリカぁ・・いるかぁ」


 俺の声はなぜだか震えている。

 アメリカの返事はない。出てくる気配もない。変わりに絶えなく奇妙な音と男のうめき声らしき音が聞こえてくる。


 と、その時俺はきずいた。

 ドアの鍵が開いている。

 俺は震えが止まらない手をドアノブにかけた。

 俺の手は少しづつしか動かない。

 ドクン  ドクン

 俺の心臓は早く動く。

 
 俺はやっと開いた小さな隙間からアメリカの家の中をのぞいた。


 「ひっ!!!」

 そこに見えたのは一面真っ赤な血の水溜りの見慣れた廊下。
 そして奥からはチェンソーの音と・・・・液体が飛び散る音・・・・。

 そしてもうひとつ。俺の目に映ったもの。

 チェンソーを持って返り血に染まるアメリカの姿。

 「うぐっ!」

 俺は急に襲った吐き気を抑え、その場にヘナヘナとしゃがみこんだ。


 ありえない!ありえない!これは夢だ!きっと夢・・・・


 俺の手を見ると生ぬるく真っ赤な血。いつついたのだろうか。

 「っ・・・・夢じゃない」


 夢なのか夢じゃないかぐらい感覚で分かる。


 「あ・・・ああ・・・・」


 信じられなかった。あのアメリカが・・・


 「あ・・・・」

 俺はふと思い出した。


 アメリカのいつもの姿を。

 アメリカは素直で元気で頑固でそしてメタボだ。

 あのいつもの服を着ているとなおさらそう見える。

 でも思い出してみろ・・・去年アメリカたちとプールへいったのを。

 あのときのアメリカはすでにメタボだった。

   はずなのに

 水着姿のアメリカはどうだ。

 ・・・・・

 「ぜんぜん太ってない・・・」


 俺はきずいてしまった。アメリカは太ってなんかいない。

 じゃあ・・・アメリカの服の中は???


 肉だと思っていたあの服の中は何が入っている・・。


 「うっぐ・・ええぇぇ」


 俺は吐き気を抑えきれずにその場に吐いた。



 「はぁ・・・・はっ・・・」


 あの中には・・・


 「イギリス・・」


 「!!!」


 振り向くとそこには血に染まったアメリカが。


 「ひっ・・・・・あ・・あめりか・・・」


 俺の足には力が入らなく、全身の力を振り絞って後ろへおとずさった。

 後ろへ後ろへ


 後ろへ下がってもアメリカは迫ってくる。


  とん


 「あ・・・!」

 
 もう後ろは行き止まり。逃げ場はもうない。 


 「あ・・・アメリカ・・・紅茶・・・とスコーン持って来たぞ・・」


 俺はアメリカから落ちてくる血で真っ赤に染まったピンク色の包みをアメリカに差し出した。  

 俺の腕はがくがくと震えている。


 「・・・・」

 アメリカは無言でその包みを受け取った。


 「アメリカ・・・・・。  っ!!!」


 その瞬間アメリカはチェンソーを振り上げた。

 ヴィィィィィィ


 大きく響くチェンソーの音。


 「ひっ・・・・あ・・アメ・・・」


 俺の口からは言いたいことが出ない。
 変わりに俺の目からはとめどなく恐怖の涙が垂れる。


 「イギリス・・・愛してる」


 「・・・アメリk

  ザシュッ


 俺の額には温かい滴がポツリと落ちた。


 そして最後に見たアメリカの顔はひどく悲しげだった。



 ドサ







 





 「・・・・・・イギリス・・・・・・ごめんね・・・・」





 俺には血に染まるイギリスの涙をぬぐうことしかできなかった。









 ENNDO




あとがき


 アメリカのハロウィンの服装ってチェンソー持ってるよね・・・・



 アメリカファンの人すみません!!

 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ