すすめ!

□ストーカー
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最近リンの様子がおかしい













ランが心配そうな顔をしてリルアに助けを求めたのはつい数分前のこと


最近は文化祭の準備で忙しく、なかなかクラスのことに気を配っていられないリルアはランからのSOSがなければ気付けなかったかもしれない








あいつがおかしいのはいつもの事じゃないか
最初こそそぅ思い、またランの考えすぎだろうとたかをくくっていたが
実際のところ、確かにおかしかった








「あー…ぁあ」
意味もなく何かを呟いている
(いやいつも何か意味もなく言っていたがこんなに覇気のない声ではなかったはず)



休み時間になってもあのうざったい声が聞こえてこない
一体どーしたというのだ









「どーしたリン。元気ないな」

「リルア…」







移動中は何かに怯えるようにして物音に過剰すぎるほど敏感に反応しているようだ


通りかかった教室の扉から生徒が出てきて奇声にちかい悲鳴をあげすっころんだリンにさすがにヤバイと判断したリルアは尋ねた




ランに手伝ってもらいながらよーやく起き上がったリン
リルアがポンと頭を叩いてやるとふっきれた様にポロポロと涙が落ちる






「あー…とりあえず、生徒会室いくか」





廊下で泣かれては周の目が痛い
ここは誰もいない場所で落ち着いて話た方がいいだろう









こうして三人は生徒会室にやってきた












「で?どーしたんだよリン」

「黙ってないで教えて」





「ラン、リルア、わ、私怖い」





こわい
一体何が?そう思ったやさき、リルアが何かを感じ取った








視線だ









「怖い?なにが?」

ランがリンを撫でながらいう



先ほどまで周に人がいたから気付かなかった。だが今はわかる
だってこの場所には三人しかいないはずなんだから





視線を感じる場所を探してみる
あった
一ヶ所だけ見つけた




(ん…?)




ランがリンを宥める隣で、リルアは一人硬直した
この視線は知っている
だが
え?
なんで?
なんでそんなところにいるんだ








自分の思いすごしだ間違いない
そうだそうにちがいない




だがこの視線は…いやいやいやないないないない









「…」

「リルア?」





ガタリと立ち上がり
リルアは顔をひきつらせたままそのカーテンをあけてみる
きっと思い過ごしだと信じた。
信じてあけた





そこにあるのは勿論窓ガラス、そこから見えるのは三階からの風景のはず



そして





そこにあったのは窓ガラスで
そこから見えるのは
カメラを構えたリルアの後輩…もとい本来は右腕であるべき副生徒会長・真が必死で窓ガラスに張り付いている姿だった







「…」

「あれ?なんでリンちゃんじゃなくて会長の姿が…あぁもぅ俺会長じゃなくてリンちゃん撮りたいのにどいてくんないかな会長……………え?会長?」

「…」

「…」







カメラを構えて片手で必死に窓枠につかまっている真
おそらく外から中に入ろうとしたんだろう
だが鍵がかかっていて入れなかった
なぜだ。こいつは生徒会、堂々と入ってくればいいのに

そして忘れないでほしい、ここは3階
真が腰に巻いているロープは屋上につながっている
つまりロープを命綱にここまで下りたということだろう








リンの怯えかたと真の行動
リンから答えをきくまでもなく、リルアは正解にたどり着いた





だが敢えて聞こう

「…なんでそんなところにいんだ」



「…」










ストーカー
「いっ痛い痛い痛い会長!やめて!!」

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