平成貴族
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最近、私の学校に転校してきた女の子がいます
その子はとても奇麗で、可愛くて、まさにお姉さんって文字がぴったりの子です
「あら、おはようございます。ニノさん」
「おはようレイラちゃん」
彼女の名前は、レイラ
紫の髪と瞳がよく似合う彼女のお家に、なんと招待してもらえることになりました
「いつもニノさんにはお世話になってます。我が家でお茶でもしましょう?」
何でも、奇麗な薔薇が咲いたお庭でお茶をしたいんだとか
(薔薇の手入れまでできるなんて、まるで貴族)
そんなわけで、学校も終わり彼女の家へ
道中はくだらない話をする
数学のあの部分が分からない
あの先生絶対ヅラだよね
あの授業は寝てても怒られない
そういえばB組のあの人かっこよくない?
転校してきて一カ月
レイラちゃんもだいぶクラスの子になじんだみたいで、転校してきたばかりの頃はうなずくだけだった会話にも、今は一緒になって笑ってくれる
そうやって歩き続けて
「さぁ、ここですよ」
辿りついたその場所は
宮殿でした
「…」
「…」
「……!?」
「まぁ、二度見」
思わず二度見しました
「えっここ、え!?」
映画に出てきそうな奇麗な宮殿
王様でも住んでるんじゃないかというきらびやかさ
ここに
転校してきたこのレイラちゃんが
「さぁ、入りましょう」
住んでるなんて!!!!!!!!!
「奇麗でしょう?庭師の前継が丹精こめて手入れをしてくれてるんですよ」
広い庭園を抜けていく
先ほど聞こえた庭師という単語はスルーしよう
まるで自分が場違いの場所に来てしまったようで、バッグを抱えて縮こまりながら彼女についていった
「す、すごいお庭だね?お家も宮殿みたい…すごいね。レイラちゃん」
「え?凄いなんて…、ほら、私貴族だから、普通ですよ?」
「…」
サラリと、とんでもないことを言われました
「え、き、貴族…?」
「えぇ、私は中世ヨーロッパの時代、女王様にお仕えした由緒正しい貴族です」
「……………あ。うん。そうなんだ。凄いね」
彼女は、電波さんでした