A

□クラブのお頭
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ここは一体どこなんだろう



(助けて…)



目隠しされているのか、真っ暗な中
恐怖だけがやってくる
きっと勇敢な彼女のことだ、私を助けに来てくれるに違いない



ならばそれまで、生きることに集中しよう







視界が解放されて、暗闇から抜け出した
目の前にいたのは巨大な台座に腰を下ろす、大男






ダイヤのお頭







「お前はあのアリスか?」




「…」



あぁ、なんてこと
どうやら自分はアリスと間違えられてここに連れてこられたらしい



もしアリスじゃないと言ったら殺されるんだろうか
ならばアリスになりきる方が生きられるんだろうか






「………私はアリスです」






幸い、彼らはアリスを知らないみたいだし、かけてみよう







「聞いたか!奴はアリスだ!女王のところへ送る準備をしろ!」



「はいっ!」



部下達があわただしく動き出す
何人かがよってきて、メアリの両腕をひっぱった




女王のところ?どこかに送られるのか





「私をどこに連れていく気なの?」



「ハートの女王のところに決まってるだろう?女王はお前を憎んでる。お前を差し出せば俺達の味方になってくれるだろう…そうすればダイヤの海賊たちを根絶やすことも可能だ!」




下品に大口を開けて笑うお頭
悪臭がこちらにまでやってきた。おもわず顔をしかめる



しかし、ハートの女王のもとへ行くということは、メアリはまたここから移動することになる
ライア達はここへ来るはずだから、できることならここで彼女たちと合流したい




つまり、彼女はここから移動するわけにはいかない







「今すぐ私を送るつもり?」



「用意が出来次第、女王の元へ行く」




まずい。このままではライアがつく前に違う場所へ送られてしまう
ハートの女王はおそらくアリスの顔を覚えているだろう。だませる気がしない




どうしよう
何かウソでもつこうか。ダイヤの海賊たちがここにくるとでもいえばいいんだろうか
あぁ、いや、だめだ
目の前の下品な大男はハートの女王の戦力なくして海賊を倒せないと踏んでいるのだから
海賊たちがここへ来ると言ったらきっと急いで女王への援軍を要請するだろう
アリスをわたすから。とでもいえば女王は喜んで援軍をわたす



そうなればライアの命が危険だ






あぁ、どうする。どうすればいい










「お頭!大変です馬が…!!」



「うるさい。また馬が死んだのか?」



「ち、違います!全ての馬が…逃がされてます!!」



「何だと!!?馬が逃げた!?なんでだ!!」








「……」




馬が逃げた?もしやライア達が来てくれたんだろうか





「こ、このカードが見張りの遺体にささってました…」


「…!これは…!くそ、あの双子め…っ!」








ちらりと見えたカード
それはトランプの








(ジョーカー…?)








ばば抜きで使う、ジョーカー
ドクロを持ったその柄がメアリにニタりと笑いかけているように見えた








(何にせよ、しばらく移動はなさそうね)

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