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□愉快な三人組
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「あぁもぅ時間がないよ!どうしよう!どうすればいいと思う?」


「知らないよ。わしは知らない君はどう?」


「そんなことより僕は眠い」


「おやネズミは眠いらしい!では眠気覚ましのお茶でもいかが?」


「わしは欲しいな。ネズミはどう?」


「いらないよ。僕は眠るから」





歌っているような、一定のリズムを刻んで声が響いてきた
わいわいわいわい騒がしい声




愉快な三人組




ここまで道案内をしてくれた猫が消えた今、アリス達はあの三人組を頼らなければ目的までたどり着けないだろう




きらきらと目を輝かせるアリス
その傍らでライアは顔を歪めた





聞こえてくるあの口調、あのリズム
聞いただけで分かる。
今から頼ろうとしているあの三人組は間違いなく面倒な連中だ
おとぎ話の中で出てくるお茶会三人組。行かれた三人組
彼らと話して、まともに分かち合うことはできるのだろうか




「さぁ行きましょうライア!」


「僕もはやく行きたいな。さぁ行こうよ!お茶を飲もう!」



「お茶を飲むって、そんなにゆっくりしている時間はねぇぞキャタ!」


「いいじゃない船長。久しぶりの再会だよ。僕はお茶がほしい」








わいわいわいわい、こっちも騒がしくなってきた



これはなかなか話が進まないな。ライアがため息をつきかけたその時だ




ヒュンッと、何かが飛んできた
咄嗟に避けたため何ともなかったのだが、ライアに当たることのなかったソレは虚しく空を描いて落下していく



よく見るとティーカップだ
中にお茶が入っていたのか、着地したソレは水たまりを作っていた







「………」




なんだ。この気品さのかけらもない事をしてきたやつは





「おぉお見事!まさか挨拶を避けられるなんて思ってなかったよ!勇敢な女剣士さん」


「挨拶を避けるなんて非常識!非常識!」


「眠いんだ。ひきずらないでおくれよ…」







近寄ってきた三人組





それは先ほどまで騒がしかった三人組








「マッドハッター!レイジー!シリープ!」



「やぁ久しぶりだね愉快な三人組」


「よぉ。三人組」




「誰かと思えば!可愛いお人形アリス!それに小さな策士キャタではないか」



「本当だ!キャタにアリス!人形と策士だ!」


「お人形はお布団にはならないし、策士も枕にはならないよ」








「……」







なんなんだろう。この三人組は

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