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□山で出会う
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海を渡って二日


「ついたぞ」


二日ぶりの陸は山だった




山で出会う




「ありがとう。恩に着る」

「いいや、べつに…だが俺もついていってかまわねぇか?ここまできたんだ。付き合いたい」


「構わない」

「さぁ、行きましょう」



美しいドレスはライアの手によってさらに美しく変身し、二人が歩くたびにゆらゆらとリボンが揺れている



「ずいぶん器用なんだね、ライア」


ライアの隣でキャタが楽しそうにつぶやいた


「貴族のたしなみだと教えられたからな」

「足場が悪いわ…」



獣道だ




剣で乱暴に葉をさばきながら歩き進めていく
黒の森というだけある
ずいぶんと暗い


「何か出てきたらどうしよう…」


「大丈夫だ」


一応、アリスにも剣を持たせてある
短剣で護身用にしかならないが



「やぁ、こんにちはお嬢さんたち」



「「!」」



ヒッと小さく悲鳴をあげてアリスがライアの腕をつかんだ
ライアは迷うことなく剣を抜き声のしたほうへ向けている



「物騒なものをむけないでくれよ」




よくよく目をこらすと、そこにいたのは一匹の猫




「…猫?」


「チェシャ!チェシャじゃない!」




その姿を確認してアリスは嬉しそうに笑った


「うわ…」と小さな声が聞こえたので下をむけば、キャタが心底癒そうな顔をしている
あまり顔に出さないよう努めいるようだが、ダイヤの船長も何ともいえない顔つきになっていた




ただ一人、アリスだけが嬉しそうだ




「やぁアリス。おかえりなさい。そちらのお嬢さんは誰だぃ?」


「彼女はライア、私の友達よ」


「そうかいライア、よろしくね」


ドロン
そんな音をたてて猫は人の姿になった
なるほど、キャタと同じく人の姿になれるのか




ずいぶん喜ぶアリスの姿からして
どうやら知り合いのようだ

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