A
□船
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浮遊感が打撃にかわり
周りには海賊たち
海に落ちなくてよかったけど…
(これはこれで危ない)
アリスとメアリはお互いに身を寄せ合い警戒を表す
海賊たちはいきなりの訪問者に驚きつつ身構える
そんな彼らのと彼女たちの間に割って入ったのは
これまた海賊たちにとってはいきなりの訪問者となり
彼女たちにとっては救いの救世主となる
凛々しきライアだった
船
「なんだ嬢ちゃん」
「…」
ライアは何もしゃべらない
なぜなら彼女は迷ってるから
いい感じに海賊とアリスたちの間に着陸できたはいいが…
(なんて言ったらいいんだ…?)
海賊たちにとっていきなり上から落ちてきた女二人を警戒するのは当たり前だ
それに落下したことに関しては確実にメアリに非がある
相手が構えているので反射的に剣を抜いてしまったが…
(この場合、どうすればいい?)
「あ、あの!」
緊張状態が続く中、メアリが口を開いた
「し、白ウサギを見ませんでした!?」
「白ウサギ…?」
「しらねぇな」
「白ウサギっていやぁ…パーツラビットのことか?」
「いやもしかしたらアスケードラビットのことかもしれねぇ」
「……」
どうやら白ウサギは二匹いるらしい
そしてここにはいないようだ
白ウサギが二匹いる
これはライアたちにとって初めての情報になった
(もしかしたらこっちが何も言わなかったら戦闘にならなくてもすむんじゃ…?)
ライアのそんな思いが頭をよぎったが
「それにしてもお前らいい身なりしてるな…」
「何か金目のものでもあるんじゃないか?」
「いやそれより売屋にもっていこう」
「…」
どうやらその願いは無にひとしいらしい
ライアはちらりと後ろを確認すると緩めていた手に再び力をこめた