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□いつもの朝
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目がさめると聞こえてくる
いつもの声





いつもの朝





「メア!メアリー!」




いつものように騒がしい足音が聞こえてくる




「どーしたの、アンナ」

「聞いて!また姉様が…!」




いつものように目を赤くして
いつものように大声で

彼女は私に話しだした





(あぁ、またか…その続きは分かってる)





「またライアがお断りをいれたの?」


「そう!そうなの!!今月に入って何人目だと思ってるのかしら…!」


「いつもみたいに剣をふるってしまったの?」


「そうよ!今回も!!」






友人、ライアは剣士だ
強い強い剣士だ



それゆえ性格も凛々しく
それゆえ男を見るめが厳しい、厳しすぎる





「何を泣いている、アン。そんなんじゃいつまでたっても強くなれないぞ」




いつの間に現れたのだろうか
アンナを泣かしている張本人、ライアが言った


綺麗なドレスが長身によく似合い
そこにぶら下がっている剣は不思議と違和感を感じさせない
凛々しい瞳が呆れた様に揺れていることも
慰めるように髪がゆれていることも
また美しく感じられる





「姉様こそ!そんなんじゃお嫁にいけませんわよ!!」


「ふん、私ごときに勝てないような男と結婚するつもりはない」


「もぅっ母様や叔母様の苦労も考えてください!」


「その分お前がはやく結婚してやればいいだろう」


「私はまだ年頃じゃないんです!」





騒がしくなりだした

せっかく気持ちの良い木陰だと涼んでいたのに…これでは台無しではないか





「さぁアン、立派な口をたたいているのもいいがお前は稽古の時間だ。母様が待っていたぞ」


「まぁ、もぅそんな時間?大変、行かなくちゃ!」







慌ただしく一つのドレスがゆれて去って行った
あとに残ったのは二つの影だけ





「すまないな。寝ていたのに…」

「大丈夫、いつものことだから」

「あぁ」



そよ風の気持ちよさに二人はふと風が流れていく方向をむいた
すると何やら白いものがかけていく



「…あれは何だ?」

「人?」

「………追ってみよう」

「えぇ」




念のため剣を構え直した勇敢な友とともに
私はその白い物体へ走り出した

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