Infinite・S・Destiny〜怒れる瞳〜
□PHASE08 エピローグ
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そして翌日。1年1組では昨日の件を含めてのクラス代表が決定していた。
「はーい、という訳で・・・一年一組代表は試合結果より・・・紅月飛鳥くんに決定です!!」
教壇に立つ真耶が黒板に飛鳥の名前を書く。クラスからは賛成の声が上がった。昨日の試合内容を考えると厳重注意が言い渡されるが、実力的にはこのクラスにおいてはトップレベルだということが示されていた。
一夏とセシリアの試合がなかったのは、どちらも試合後に気を失ってしまい、更に機体が危険レベルまで破損させられていたので早急に決めなければいけなかったクラス代表はこの時点で2勝していた飛鳥に決定したのだ。
一夏としてはようやく来たばかりの白式を危険レベルまで破損させてしまったので、それを整備するものたちからすればもっと丁重に扱ってほしいとも言われて、すいませんと謝っていた。
そこまで破損させたのは飛鳥であるが、破損させないようにするのは一夏の操縦の腕であるからどっちもどっちなのである。取りあえず白式もブルーティアーズも現在は修復中ということだ。
そして、ガタッという机の音とともに、ゆっくりと窓際に座る飛鳥が立ち上がる。教卓に立つ真耶の他クラスメイトたちの視線がそこに集まる。昨日のような恐怖心を掻き立てるような怒りはない飛鳥。昨日の試合、誰もが見ても異常なほどの戦闘を見せたのだ。一夏は初心者であるから分かるが、代表候補生のセシリアまでも打ち破ってしまったその実力と・・・ISに対抗できるというMSの性能の高さを見せ付けられたのだ。
更にはこの学園に二人しかいない珍しい注目を集める男同士の戦い。だが、内容は一方的に近いもので、最後には強制的にとめるために教員である千冬自身がISを使って止めにでるなどと波乱があった。
そのために少々距離ができつつあった飛鳥と他の生徒たち。彼があそこまで怒る理由を知っているものはこの学校には4人しかおらず。周りからすれば理解ができないことだっただろう。
「ええっと・・・」
立ち上がった飛鳥が口を開く。やや寝癖頭の髪をかき上げて、恥ずかしそうに、緊張している様子が伺える。昨日の恐怖心を掻き立てるような飛鳥とは打って変わって、女性が元来持ち合わせている母性というものをくすぐるそんな雰囲気をかもし出している。
「一組のクラス代表になった・・・。えぇっと、頑張るから応援よろしく!!」
言い切ったと目をつぶり勢い良く椅子に座る。かなり恥ずかしかったのか机に突っ伏してしまう。その後かわいいなどという歓声が上がる。男がそう言われてもうれしくない。
「そこで!!」
すると突然立ち上がったのはセシリアである。歓声がぴたりと止まり、皆の視線がセシリアへと向かう。
「私のように優秀かつエレガント華麗にしてパーフェクトな人間がIS操縦を教えて差し上げればクラス代表戦に十分通用するまで飛鳥さんも一夏さんもみるみる・・・」
セシリアが飛鳥と一夏に対して訓練及びISの操縦を教えるというと、突然机を叩いて、箒が立ち上がったのだ。
「生憎だが一夏の教官は足りている。私が直接頼まれたからな」
腕を組んでセシリアに対してその役は必要ないと言ってのける、それも堂々と一夏からのラブコールがあったことも添えてだ。するとクラスメイトたちは、キャーキャーとはしゃいでいる。二人きりの男女、ちょっとしたことで発展するかもしれないという期待もあったのかもしれない。
「あら、あなたはISランクCの篠ノ之さんではないですか。Aの私に何かご用かしら??」
「え??箒、ISランク、Cだったのか??」
一夏が、ランクの高い人から教えてもらったほうがいいのかと思い始めている様子を見て、箒は慌てる。
「ら・・・ランクなどは関係ない!!私が頼まれたと言っているんだ!!い、一夏がどうしてもと懇願するから・・・」
最後は尻すごみしてしまうが、箒は自分の言いたいことを言ってやった。一々ランクにこだわる二人に突然割って入ったは一組の担任織斑千冬。
「ランクなど15歳そこらのお前らになど関係ない。私から見ればお前らは皆ひよっこだ」
と言うことでセシリアと箒の口論を止める。
「クラス代表は紅月飛鳥。依存はないな!!」
と言うように千冬が強制的にしめると、クラスメイトたちは団結することはいいことであるように返事はOKであった。
こうして飛鳥のIS学園での波乱の日がまた始まったのだった。
(完)