Infinite・S・Destiny〜怒れる瞳〜

□PHASE05 青き涙〜ブルーティアーズ〜
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飛鳥が上空に飛び上がる。そこにはすでにアリーナにいたセシリアがそこに待っていた飛鳥が現れたことに気づいて声をかけてくる。

「あら、最初は織斑さんだと聞いておりましたけど??」
「アイツのISがまだ届いていないんだ。だから急遽俺に変わったんだよ」

 彼女の様子からして相当待たされていたようだ。いらいらした様子が見て取れた。

「全くレディーを待たせるとは、男性として恥ずかしくありませんの??」
「悪いけど、そう言う経験は生憎ないんでね」

 お互いに軽口を交わす。すでに試合は開始されている。

「まあ、いいですわ。それにしても、よく逃げずに来ましたのね??わざわざ負けて惨めな姿を晒すためにご苦労なことですわ」

相変わらず見下すような口調で飛鳥に言ってくる。その手に握られているレーザーライフルの銃口はしっかりと飛鳥に向けられている。

「今ここで謝るというなら許してあげないこともなくてよ」

そう言うセシリアであるが飛鳥はそれを鼻で笑って拒否する。

「あらあら残念ですわね。なら、お別れですわね!!」

そういうや否や、突然セシリアは握っていたレーザーライフルを飛鳥に向かって放つ。銃口から狙いを見定めた飛鳥はとっさの回避行動にてその攻撃を川した。

「かわした!?少しはできるようですわね」

 不敵な笑みは相変わらずのセシリアはライフルを再び構える。飛鳥も負けじとビームライフルを構える。

お互いがライフルを構え、アリーナの上空を所狭しと飛び回る。第三世代であるセシリアのブルーティアーズのスピードについていく。MSを知らないものたちからすれば、ありえない光景であった。

 セシリアの表情からすっかり余裕というにも字は消え去っていた。縦横無尽に動き回る目の前にいる飛鳥に対して全くレーザーが当たらないのだ。

「く、ちょこまかと・・・」

 歯噛みしながらも狙いをつけてレーザーを放つがまるで先を読まれているかのように、トリガーを引いた瞬間にはそこに飛鳥の・・・ヴェスティージの姿はなかった。

「く、どこに・・・!!」

 数メートル横に移動していた飛鳥はすぐさまライフルを放ち、ブルーティアーズの方を貫く。ビームの熱で溶かされた青い装甲がえぐられたような後がセシリアの目に入り、それがプライドを傷つけられたように見えた。

「よくもこのわたくしに傷を!!」

 傷一つ着けられまいと思っていたセシリアであるが、予想以上にMSと何より飛鳥の操縦がよかったためにダメージを確実に受けていた。対する飛鳥はというと巧みな操縦でセシリアの射撃武器であるスターライトMKVのレーザーを回避したり、対ビームコーティングの巨大シールドにて防ぐためにダメージは0に等しかった。

「このままでは恥さらしですわ・・・。行きなさい、ブルーティアーズ!!」

 セシリアが歯噛みしながらもそう宣言すると、背中の翼と思われていた部分から四基のアンロックユニットであるビットが飛び出した。それがセシリアを囲むようにして浮いている。

「あれが・・・、第三世代の特徴であるイメージ・インターフェースを用いた武器か」

 その四基のビットがまるでそれだけに意志があるかのように自在に動き出し、飛鳥の周りを飛行する。いくらハイパーカメラがあるといっても、見えるだけで反射するのはその操縦者本人の反射神経にかかってくる。

「わたくしとブルーティアーズの奏でるワルツで踊りなさい!!」
「へ、ワルツか阿波踊りか知らないが、そんなのに付き合ってられるか!!」

 青き涙を形容するように、四基のビットが次々と確実に飛鳥の死角に回り込み、豪雨のようなレーザーを放ってくる。それを微妙な操縦裁きでかわしていく。だが、そのビットに襲われている飛鳥は防戦一方である。まさにワルツを踊らされているというものだった。

「何ですのその無様な踊りわ。少しは嗜みもお勉強なさったほうがいいですわよ」
「く・・・、面倒な武器だ」

 右に左に、更には上にしたにと機体をスラスターの強弱によって操作し、火弾を免れている。だからといってこのまま逃げ回っていても勝負にはならない。とはいえビットも一撃離脱とそのまま滞空しているなどというおろかなことはしていない。

「こんのぉ!!」
「!!きゃ!!」

 飛鳥は再び降りかかるレーザーを回避していくところ、体勢を崩す、何とか正面から放たれたレーザーを構えたシールドで受け止めたが、ぐらりと斜めになった体勢のまま攻撃を掻い潜り、強引な体勢のままでライフルを放つ。

 そのビームが狙ったわけではないが、真っ直ぐと飛んで行き、セシリアの、ブルーティアーズの足を貫き、爆発する。腕部や、脚部は人間のそれよりも延長されているために、一応大丈夫であるが、バランスを取るという意味では、難しくなる。滞空していたセシリアも失った右側にぐらりと傾き、すぐさま体勢を立て直す。

「く、これくらいなんともありませんわ!!」

 強がるセシリアとは反対に、飛鳥は疑問を持つような表情でその場から離脱していた。いつの間にかビットは再びセシリアの回りに戻っていた。何故あの時避けられるビームを回避せずに受けたのだろうか。

 まさか来るとは思わなかったときを抜いていたとも考えられる。だが、反応はしたものの、全く体が動いていなかった。そう疑問を感じつつ、移動しながら肩越しに装備しているファイヤビー誘導ミサイルを計16発セシリアに向かって放つ。

「そんな攻撃!!」

 四散したブルーティアーズがそこから次々とレーザーを放ち、まるでレーザーのカーテンを引くようにミサイルの着弾を防ぎ、撃墜していく。しかし、全てを打ち落とすことはできず、数発が動かないセシリア本人に着弾する。

「きゃあああ!!」
「また・・・」
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