ぶっく(名前変換なし)

□、
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「あのね、おおとりくん、」

にっこりと笑いながら彼女は、そう真実を告げた。俺は何も言えなかったから静かに笑って驚いた表情を作る。すると彼女は少し怒った顔で俺を見上げた。

「嘘だと、思うの?」
「…いや、そうゆう訳では、」

意外だった、と漏らせばそうかもねと彼女が言った。報告なんて、してくれなければよかったんだ。そうすれば傷つくことも苦しくなることも、なかったはず。そんな自分勝手な思考回路を強引に引っ込めて、俺は自嘲気味に笑った。俺は目の前の彼女が大好きで、宍戸さんも大好きだから。俺は、引き下がるしかなかった。それでもやっぱり好きという気持ちは収まってくれなくて。あぁ、どうしたらいいんだよ。心の中で叫ぶ声は、小さく消えた。

「…宍戸さん、は、優しい、ですか?」
「えぇ、とっても優しいわ」

彼女は幸せそうに微笑んだ。どくん、と心臓が高鳴る。彼を想いながら微笑む彼女も綺麗だった。教会はもう決めてあるとか、誰を呼ぶとか、彼女は楽しそうに語る。俺もどうにか笑顔を作ってそれに答えた。
それじゃあまた来週の今日に。そう言って別れた。その日は彼女と宍戸さんの卒業の日で、そして、その日は、





彼女が俺をして、卒業する日

(笑ってさよなら、しなきゃ)






(081021)









「「どうか僕をあきらめさせてください」」
の1週間前って設定´ω`











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