ぶっく(名前変換なし)

□、
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シャクシャク。おいしそうな音を響かせながら隣の彼は食べていた。あたしの手にも同じそれがあったけれどでもそれでも隣の芝生はなんやらで、彼の方がなんだかとてもおいしそうに見える。シャクシャク。真剣に食べる彼をじっと見ていたらふいに目が合った。あたしはなんだか恥ずかしくなって手の中のそれにかぶりついてみた。シャクシャク。冷たくて甘かった。

「せーんぱいっ」
「ん、?どしたの?」
「いや、なんか見られてた気がしたんで」
「…なに、じかじょー?やだなぁ」
「そんなんじゃないですってば!」

その時突然遮られた視界。唇に、温もり。手の中の彼より小さいそれが大きな音をたてて皿の上に落ちた。テーブル越しににやける彼はやっぱり確信犯なんじゃないか、と考えながらもう一度彼と唇を合わせた。


甘い甘い誘惑

(ねぇ、せんぱい)
(ん?なあに?)
(……好き、です)








(080912)













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