ニシキギ 壱

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俺が今いるのは船長室。
白ひげの部屋だ。


ついさっきまでナースがいたが真面目な俺の顔からなにか察したのか気を使って出ていった。


今この部屋には俺と白ひげの二人。

白ひげは面白そうに俺に話しかける。





「グラララ!お前が静かに部屋に入ってくるなんざどういう了見だ」





クロウはやらんぞ?とおどけて言ってくるから俺は慌てて否定する。
するとまた大きく笑われた。うわっ床が揺れてる!





「そ、そんなことじゃなくて!」





俺は息を大きく吸って





「俺を息子にしてくれ!」





揺れが止まった。

様子を伺うとひどく驚いた顔で固まっていた。
杯を動かす手も止まっている。



だ、ダメか・・・?



目を瞑って返事をまつ。

緊張に耐えるため体を縮こませた時―――





「グラララ!!」





もう一度、先ほどと変わりのない上機嫌な笑い声が部屋に響きわたった。





「そうかそうか!ようやく決めたか!」




「うわっ」





ばん!と乗せられた大きい手のひら。
あまりにでかくて上が見えないが白ひげが上機嫌なのだけは分かった。





しばらくして俺の頭から影が消えた。





「グラララ!俺のことはオヤジと呼べ!よろしくな、息子よ!」




「お、おう!」





また目頭が熱くなってきた。

また上げた顔を下げると白ひげ・・・いや、オヤジが言ってきた。




「俯くな。胸をはれ。オメェは俺のムスコなんだからな」




「っ!」





俺はがしがし目をこすると上を見て言った。





「これから世話んなります!」




「グラララララ!!!」






こうして、俺たちは白ひげ海賊団に正式に加入することが決まった。






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