ニシキギ 壱
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「イゾウ」
俺が飯食ってる最中に話しかけてきたのはクロウ。
「エースと話をしてきた」
隣の席に座りながらそう言ってきた。
「へえ、普通の会話をか?」
「ああ」
朝食を口に運びつつ簡素に答え、それから食事に集中し出す。
声にも顔にも嬉しそうな感じは全然浮かんでいないが、自分から俺に報告してきたところを見ると心の中はルンルンだろう。
俺は
「良かったな」
とだけ言って頭を撫でた。
これでクロウの悩みは大分解消されただろう。
中々悩んでいた様子だったし良かった。
2人で周りの視線を受けながら食事を続けた。
・・・・・・あのな・・・
クロウの両手ぐるぐる拘束期はもう終わった。
餌やりはもう昨夜が最後だったんだよ。
だから――――…
箸を握りしめて涙目でこちらを見るのはやめてくれ。
もしかしたらまたあるかもしれないだろ?
まあ、その時も譲る気は全然ないがな。
諦めろ。
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