ニシキギ 壱
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翌日、メシを運んできたのはサッチじゃなく意外にもマルコだった。
片手にはスープの入った椀。
「すまねェな、まだこれしか出来てねェんだい。後から持ってくるから待っとけよい」
ああ、それでサッチじゃねェのか。
ま、誰でもいいけど・・・。
その時アイツの顔が浮かんだなんて・・・言うもんかこの野郎。
その後、俺が少し聞きたかったことを聞いて、なんか涙腺が緩んで俯いた・・・そんな時、
「お前ェクロウに礼言ってんのかい?」
聞かれた。
何のことだ?
「昨日・・・のことか?」
「ああ、それもだなァ。それより何回か救助してもらったことだよい」
「救助?」
いつされた? 何された?
・・・全く記憶にない。
それが顔に出ていたのかマルコが答えた。
「海に落ちたお前ェを何回か拾いに行ったんだい。ちゃんと礼しとけよい」
マルコは「本人は全く気にしちゃいねェが」と続けたが俺の耳には入ってなかった。
助けた?
俺を?
クロウが?
・・・少し覚えにあることに昨日ちゃんと礼を言わなかった自分をブン殴りたくなった。
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